ブランドにとって転売屋は邪魔な存在なのか必要悪なのか

世の中いろんな商売がありますが、どんな商売も利益を出すために行われています。

安く仕入れて高く売る

超シンプルに考えると、これが商売の基本の姿です。需要さえあれば、どんな粗悪なものでも高い価格で売れる可能性があります。

当然です。その通りです。分かっています。でも分かっていても個人的には嫌な商売もあります。それが今日の本題。

人気ブランドと転売屋

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画像:GOODENOUGH

あくまでも今回は「ファッション」に限った話ですが。

慢性品薄状態だった90年代ストリートブランド全盛期

  • A BATHING APE
  • UNDERCOVER
  • GOODENOUGH
  • NEIGHBORHOOD

このへんの単語に反応する人とは旨い酒が飲めるかもしれません。そう、いわゆる「裏原」の代表とも呼ばれるブランド達。※「裏原」という単語は当時は(笑)的な使われ方が多かったですね。

彼らは基本的に小ロットでしか生産しませんでした。大量生産のコマーシャル的な商品は作りたくないという思いもあったでしょうし、大量生産する資金がないということもあったでしょう。

一方でファッション誌では藤原ヒロシ氏やNIGO氏などの特集が頻繁に組まれ、ブランドの認知度はどんどん上がっていきます。藤原ヒロシ氏や
NIGO 氏、高橋盾(ジョニオ)氏になりたいという”Wannabe”が原宿には溢れ、そうして上述の「裏原」というものができあがっていきました。

しかし当時問題だったのは、慢性的な商品枯渇状態。彼らが雑誌で紹介したものは即日(数分)完売は当たり前でしたし、直営店( NOWHERE )にある商品は「きっと間違いないものなんだろう」ということでボコボコ売れていきました。店行ったら商品が無いぞ?なんてことは本当にザラ。

なので本当に欲しい人は開店数時間前から並ばないといけませんでした。

人気の高まりとともに転売屋が台頭してくる

さてそんな盛り上がりとともに台頭してきたのが「転売屋」。いわゆる「業者」。

新作が出る日はアルバイトを雇って並ばせて定価で購入し、その後地方でさらに高値で販売。 T シャツはだいたい 5,800 円だったと記憶していますが、それが同じ日に地方では 30,000 円で売られるなんてことはザラ。原価率約 20% といういい商売です。

ただそのせいで、一般の子達がそもそも直営店で買えないということもしばしば発生。UNDERCOVERのボスである高橋盾(ジョニオ)氏も当時はその状況を辛辣に批判してましたが、いかんせん違法じゃないし取り締まることもできません。

そりゃそうですよね。今はあまりないですが、昔のセレクトショップなんて海外の店舗で普通に購入→日本で数倍で販売なんてことしてたわけで。冒頭の「安く買って高く売る」という商売の基本に忠実なだけ。

結局モヤモヤしつつも、人気ブランドと転売屋はセットになって歩まざるを得なくなりました。

一線を超えた転売屋

ぬいぐるみ

それから時は流れて 2014 年。

久し振りに青山の GUCCI の近くを通ったら、某ストリートブランドのショッパーを大量に持った軍団が。「ああ、転売屋ご苦労様」と思いつつ近づいていくと・・・

クッサ!!臭い!!

そう、ずっとお風呂に入っていないあの人達の臭いが周囲にプンプン。会話の内容を聞くと「えーまた並ぶの?」的な話が聞こえます。

なんとその転売屋はそんな人達にお金を握らせて代理購入させていたんです。直球で言うとホームレス的な人達に。ちょっと観察してると、「じゃ、また行こうか」と彼らは再び某ブランドショップに足を運び、普通に行列に並んでいました。ショップスタッフも特に気にする様子もなく「いらっしゃいませー」と声掛け。

・・・何か一線を超えちゃったなぁ・・・と感じました。

転売もいいけど、ブランドへのリスペクトや愛は必要じゃないの?

ジャケット

私個人的には転売屋は好きじゃないですが、上述したように人気ブランドである以上は、ある程度うまく付き合っていかなければならない存在なんだと思います。必要悪とまでは言いませんが、一方では人気ブランドの証でもありますし。

でもね、そのためには最低限ブランドへのリスペクトがあるべきです。例えば転売目的だったとしても、少なくとも購入するアルバイトにはそれなりの格好をさせるとかね。それがホームレスってアナタ・・・。

そこにはブランドへのリスペクトも愛も微塵もなく、あるのは「儲」の一文字だけ。ブランドは値段を吊り上げるだけの単なる記号でしかありません。

うーん、私食い物以外では並ばないので分かりませんが、当時から転売屋はこういう人達を使っていたんですかねぇ。

結局うまく付き合うしかないのかね

とまぁ、ここで私がブー垂れても転売屋はいなくなりませんし、オイニーツーキー(臭いがきつい)からといって、明らかに転売目的であったとしても、店側では販売を拒否することもできません。そんなことしたら差別につながりますし、何より(悲しいことに)店舗としては売上は喉から手が出るほど欲しいし。結局そんな奴らも抱え込みながら進むしかないんでしょう。

しょうがない

それしかないのか。

でも本来は、ブランドとターゲットを完全にマッチングできるサービスがあるといいですね。・・・あ、もう何百年も前からオートクチュールがあるか。

では再見。

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