ZOZOTOWN の送料一律 200 円はユーザーにとって高いのか安いのか

 

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悪い悪いと言われているファッション業界。そんな中でもあんまり(業績的に)悪い話を聞かない数少ない企業がスタートトゥデイさん。というかZOZOTOWN。ローンチの頃から存じ上げておりますが(一方的に)、まさかこんなに大きくなるとはね。

良くも悪くもいろんなチャレンジをするんですよね。たとえば大人気の WEAR だって、ローンチ当時は全然違うサービスでした。

まずやってみる。やってみてダメなら修正すりゃいいじゃん、という社風のように感じられます。私もそんなポリシーなんで、けっこう好きなんです。私 ZOZOTOWN でモノ買ったことはありませんが(え)。

さてそんな ZOZOTOWN がまた世間をお騒がせしているようです。※執筆時:2017 年 11 月頭

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どうやら失敗に終わった「送料自由」

2017 年 10 月 1 日、 ZOZOTOWN でこんな試みが始まりました。

ZOZOTOWNの送料は、お客様に自由に決めていただけるようになりました。

お客様のご都合やお気持ちに合わせご自由に設定ください。

私たちは引き続き、宅配会社様のご協力のもと
最高の配送サービスを提供できるよう努めてまいります。

また、当サービスは試験的実施のため
予告なく変更・終了する場合がございます。

これからもZOZOTOWNをよろしくお願いいたします。

※送料とは、商品のお届けにかかる配送料・梱包費用などのことです。

ZOZOTOWN

以上、原文まま。

中間発表ではかなりおもしろいことになりましたが、結果としてこのサービスはきっかり 1 か月で終了することとなりました。

どの地方の人間がケチなのかをあぶり出す~のではなく、「消費者がいかに送料を軽んじているか」が顕在化した結果です。また同時に「 EC 事業者がいかに送料無料という麻薬に頼っているのか」も見えたのではないでしょうか。

事業者と購入者の送料に対する意識の違いが浮き彫りに

地域別に凸凹あれども、結果として平均 96 円(税込)と 100 円を切る単価。 1 位の福島県と 47 位の奈良県では、たった 25.68 円の差しかないので、ほぼ一緒といえます。

物流事業や通販事業に携わったことがある人であれば、こんな金額で物が動くなんて思いませんよね。でも一般の消費者はそれが適価だと考えているわけです。

EC 事業者にもおおいに責任がある

またそれは消費者のせいだけではありません。施策といえばすぐに送料無料を打ち出したがる EC 事業者にも大きな責任があると思います。特に ZOZOTOWN は昔から、なにかあればすぐに送料無料。これではなにも知らない消費者は「あ、送料ってそんなもんなんだ」と思っちゃいます。

当初どんな思惑でこの送料自由を決めたのかはわかりません。しかし 1 か月で終えるということは、少なからず失敗に終わったということでしょう。

間を置かずに次の規則がリリースされました。

いくら買い物しても(高くても安くても)送料は一律 200 円!

2017 年 11 月 1 日、 ZOZOTOWN の送料は下記のとおり改定されました。

ZOZOTOWNは「送料自由」の試験導入結果をうけ、
11月1日より送料を「一律200円」に変更させていただきます。

ZOZOTOWN

破格の設定だと思います

ソックス 1 足だろうがコート 5 着だろうが「一律 200 円」。

東京宛だろうが、中継配達となる沖縄だろうが「一律 200 円」。

全品送料無料ほどのインパクトはないにせよ、破格としか称せない価格設定です。その代わり送料無料はやめるということですね。

◯◯円以上は送料無料というサイトがほとんどですが、高単価購入ユーザーに対しても優遇せずに送料を徴収することで、全体として徴収できる送料はある程度の額に積み上がるという算段なのかもしれません。このへんは後半でも。

しかしユーザーにはあんまり響いてない様子

だがしかしなにげに驚いたのがこちらの文言。

私たちは皆様のご希望である、送料100円程度での配送を

実現するために努めてまいります。

ZOZOTOWN ユーザーは 200 円でも「高い」と思う模様。先の結果を受けたのか、なにかアンケートを取ったのかはわかりません。

しかしこれは上述のように、これまで送料無料を連発して(言葉は悪いですが)ユーザーを甘やかしてきた、 ZOZOTOWN 側にも大いに責任があるんじゃないすかね。

送料 200 円が運営側に与える影響

「送料 200 円でいいの?」と感じる人もいれば、「 200 円も取るのかよ」と感じる人もいます。運営側に対してどれくらいのインパクトがあるのか、かんたんに数字で見てみましょう。もちろん私は ZOZOTOWN の人ではないので推測です。

では以下、自分が転売をするつもりで考えてください。

送料徴収は売り手の利益に影響を及ぼす

3 パターンで考えてみます。基本条件は一緒。どこかで 6,000 円で買ってきた商品を、あなたは 10,000 円で販売しようと思っています。商品だけで考えれば 4,000円 の儲けです。

配送業者へ支払う費用を一律 600 円と仮定し、運営パターンをざっくり 3 パターンにわけて表にしてみました。

① 配送費用は丸ごと購入者負担してもらうパターン

② 配送費用はこちらで負担するパターン

③ 配送費用の一部を購入者に負担してもらうパターン。わかりやすく ZOZOTOWN の 200 円にしています。

それぞれ購入者から送料をどれくらいもらうかによって、最終的な営業利益に差が生じています。

それぞれメリットとデメリットがある

ではそれぞれのメリットとデメリットを簡単に。

①配送費用は 100% 購入者負担

購入者に送料を丸ごと負担してもらえるので、あなたは商品を販売した儲けを丸ごと得ることができます。営業利益率はいちばん高い 38% です。

一方購入者から見ると、商品代以上にお金を支払わなければなりません。割高に感じて購入率は下がるでしょう。

②配送費用は 100% 販売者負担

商品代以外によけいなお金はかからないので、購入率は上がります。

もちろん購入者側の利益はそのぶん減ります。①と比べて 4% 下がり 34% です。

ですがたとえ利益率を下げても、たくさん販売して利益額を稼げばいいという考え方もあります。送料無料を打ち出している EC サイトはこのパターン。

③配送費用の一部を購入者に負担してもらう

これは①②の間のパターンですね。お互い大きなメリットもデメリットもなく、折半しましょうやと。

営業利益率も 35% と両者の中間に落ち着きます。

配送コストは事業規模によって変わる

なるほど、今回の ZOZOTOWN の例は③の折半パターンなのね・・・とするのは早計です。

上述のパターンはあくまでもわかりやすく、あなた=個人が転売をするシーンを想定していました。

そこには決定的に欠けている要素があります。それは事業規模です。

月に数点発送する程度なら、送料も表のとおり 600 円程度でしょう。しかし法人契約で月に膨大な数を出荷する企業であれば、間違いなく 1 件あたりの配送コストは下がります。月 3 件の発送と、月 10 万件の発送で同じ単価はないよねという話。

つまりこんなイメージです。

最初の表と数字が変わった部分だけ、グリーンにしています。

どれだけ配送コストを落とせているかによって影響は異なる

ZOZOTOWN がスケールメリットを活かし、 1 配送あたりの送料が仮に 250 円程度に抑えられているとしましょう。そして購入者から一律 200 円を徴収すれば、送料込みでの売上高・営業利益ともに下がりますが、最終的な利益率はいちばん高くなります。これぞ数字のマジック。

送料 200 円!というのはインパクトがありますが、内部的にはさほど痛くはないのかもしれません(あくまで仮説)。

一応書いておきますが、これだけ見て「チ!結局儲けてるの ZOZO だけじゃん」とは思わないでください。販促コストがその分大きくなっていたり、人件費が増えたりと、さらに事業規模と顧客満足度を上げるための費用に使われているはずです。きっとね。

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結論: 200 円は企業努力の成果だし、文句言わずに払っておこう

こんなことを書くと「暴利を貪りやがって」と感じられるかもしれません。でもそれは全然違います。

スケールメリットを活かし、1配送あたりの送料が 250 円程度に抑えられているとしましょう。

と書いたように、この配送単価にするためには、想像もつかない個数の配送を依頼する必要があります。つまりそれだけの規模感にしないとできないわけですし、それだけの規模感にしたのは間違いなく企業努力の賜物です。

だからこそ無理なく送料一律 200 円ということもできるのであり、他の企業がかんたんに追従できるものではありません。

自分の手元に送られてくる商品の裏には、倉庫で作業をするスタッフの人件費/伝票印刷コスト/配送業者の人件費や車両代やガソリン代・・・などなどさまざまなコストがかかっています。

そういうコストを理解できれば、 200 円は安すぎるくらいだと思っています。

ただし ZOZOTOWN 側にも落ち度はある

でもね、言ったこと、一度決めたことをコロコロ変えるのはカッコ悪い。

今回はこれに尽きます。

代表の方も「タダで商品が届くと思わないでほしい」と言ってますが、上述のとおりそれには激しく同意です。

でも、だったら、最初から送料低め固定にすればよくて、送料自由なんてことをやる必要は無かったはずです。

「いや、最終的な送料を決めるためにユーザーの反応を見たかったんです」という話もあるでしょう。ですがそれであれば最初から大々的に「 1 か月間限定!」などと打ち出しておくべきでした。

今回の流れは「思ったよりも全然安くて計画とのズレが大きくて、株主にも怒られそうだから急遽修正しました!」としか見えず、下手こいたなーとしか感じられませんでした。

・・・とまぁいろいろ書きましたけど、ファッション EC の中ではどんどん新しいことにチャレンジし、かつ規模的にも抜きん出た存在であることは変わらぬ事実。好き嫌いは個人の自由ですが、うまくお付き合いしていけばいいんじゃないすかね。

では再見。

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