なぜあなたは山に登るのか?という問いに対する、「そこに山があるから」という返答はあまりにも有名です。
深いような、なにも考えていないような。こうやってナチュラルに答えられる人は根っからの登山家です。
一方、それはあくまでも一握りの部類。 99% の人はこんな類の動機でしょう。
- 誘われたから
- 学校行事だから
- 人生で一回くらい記念に
- 流行ってるから
- (人生に疲れたから・・・)
そういえば数年前「山ガール」なるものも盛んに取り上げられていましたね。いまどうなってんだろ?と思って少し調べてみたらちゃんと存在しているようで、受け皿となるしっかりしたサイトもありました。
定着したようでなにより。
私の父がここ数年で山へ行かなくなった理由
さて話は変わって私の父親の話。
山野の動植物の生き字引だった父
職業柄(定年退職済みですが)、山野の植物や動物にものすごく詳しい私の父親。贔屓目なしに山に関しては “Walking Dictionary” と称されるような人です。
私含め子どもたちが自立してからは、毎週のように母と2人で軽めの登山を楽しんでいました。登山というか、周囲の高原や湿原を楽しむという感じですね。観光客のガイドもしたりと、充実してる様子でした。
父が山へ行かなくなった理由はシンプルだった
そんな父ですが、ここ数年すっかり山へ行かなくなりました。
父の中での山ブームが去ってしまったのでしょうか?それとも坐骨神経痛がひどくなってきたからでしょうか?それとも母が付き合ってくれなくなったからでしょうか?
不思議に思って聞いてみたら、予想とまったく異なる答えが返ってきました。
クマが出て怖いから
うーんシンプル。
クマとの遭遇確率が高まっている
どうやらここ数年で、クマに出会うことが多くなってきたそうで。
もちろん「出会う」といっても遠目から確認する程度とのこと。それでも、肉眼で確認できる距離にいるクマが、なにかの拍子でこちらに全速力で走ってくることを想像すると、なかなか恐ろしいものがあります。
ましてや老人です。カラテマスターでもありませんので、素手で撃退することは無理でしょう。
というようにガチで生命の危険を感じ始めたから、というのが理由でした。
遭遇確率は山以外でも変わらない
ちなみに拓けた高原だろうが、うっそうと茂った山林だろうが、遭遇確率はあまり変わらないそうです(父親談)。
たしか年々「クマ出没」ニュースは増えてきているように感じます。
東北地方が多いのは確かですが、全国に広がりつつあります。
なぜクマとの遭遇確率が増えているのか
クマ出没の背景には複合的な原因があります。以下かいつまんで。
①食糧不足による生活エリア拡大
ツキノワグマは冬眠前にブナ類やナラ類などの実を大量に食べ、体内に溜め込んで冬眠に入ります(以下面倒なのでドングリで統一)。少量のドングリではしっかり越冬できません。
一方で自然のものですから、ドングリも気候の影響を受けます。暑すぎたり寒すぎたりしてもダメでしょうし、台風の影響で育たないうちに落ちてしまうということもあるでしょう。
自分の生活範囲のドングリが不作なら、当然他のエリアへ足を伸ばしますよね。
結果としてそれが人間の生活範囲と被ってしまい、クマ出没!となるわけです。
②山間部の過疎化
人間が多く生活していて活気があれば、クマも警戒して近寄ってきません。
しかし山と人里の中間のような山間部エリアは、過疎化が進む一方。生活人口はどんどん減少し、かつての活気はありません。
そうなるとクマも近寄りやすくなります。
さらに人間の集落の近くには、柿や栗といったクマの好物も多く生えています。
そりゃクマも遠慮せずに来るよね、という話です。
その他複合的な原因
①②がわかりやすい原因ではありますが、その他にもさまざまな原因があります。それらが複合的に絡み合って昨今のクマ大量出没という状況になっているようです。
君子危うきに近寄らず、がいちばん安全
このようにクマの立場からすると、行動範囲を広げざるを得ない理由があるということです。生きていくためですからね。
こういう問題を管轄するのはどこなんでしょう?農林水産省かな?今後も増えていく気がしますので、まだ人的被害が少ないうちに手を打っていただきたいものです。
で、私たち人間は、クマと遭遇する可能性があるんだ、ということを忘れないこと。そして万が一遭遇した際の対処法くらいは目を通しておいたほうがいいと思います。
しかしゴールデンカムイ(めっちゃおもしろい)を読んで痛感しますが、装備も覚悟もない人間がクマに勝てるとは思えません。※ヒグマですが。
まぁ近寄らないのが一番ですな。特に将来のある山ガールのみなさんも、せめて山へ行くならクマ出没情報くらいは調べておきましょう。自分は大丈夫という根拠のない自身がいちばん危ういのは言うまでもありません。
では再見。
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