月別に見るアパレルのセール時期と営業体制(春夏シーズン: 1 月 ~ 6 月)

当ブログでコンスタントに多くのアクセスをいただく記事のひとつに、アパレルブランド GAP のセールスケジュールがあります。

参考▶ GAP での買い物は 50% OFF セール期間がベストタイミング

1 年間仮説と検証を繰り返しましたが、結果としては驚きの 9 割の的中率となりました。※アパレル長い人なら別に驚くようなもんでもないですが。

そんなこともあり、たまに「このブランドのセールはいつからですか」などというお問い合わせもいただくようになりました。さすがに知らんがな

でもまぁ私もそうですが、やっぱみんなセール情報は気になるよねーということです。ということで今回は一般的なアパレルブランドの、月ごとの営業動向とセール動向について記していきます。

これを理解しておけば、だいたいのブランドのセールタイミングは察することができると思います。

そもそもどういう商品がセール対象となるのか

スーパーの果物

すべての商品にはライフサイクル = 賞味期限が設定されている

本題に入る前に。以前の記事でも触れたように、店頭で販売されている洋服にはすべてにライフサイクルが存在しています。

参考▶ 商品ライフサイクル設定:アパレルマーチャンダイザー(MD)の超重要なお仕事

「賞味期限」と言い換えればわかりやすいかもしれません。

たとえば T シャツ。11 月末に新商品として半袖Tシャツが売りだされたとして、飛ぶように売れるでしょうか?よっぽど強いブランドロゴでも入ってない限り、ふつうは売れませんよね。なぜなら 11 月は半袖を着るには寒すぎるからです。つまり賞味期限外ということ。

すべての商品にこのような賞味期限(仮説)を設けます。そうすると、実際にそのとおりに動くかどうかはわかりませんが、検証は行うことができますよね。そうして来期の商品企画に活かしていきます。

セール品 = 賞味期限切れということ

そして原則としてこの賞味期限 = プロパー販売期間です。言い方を換えると、セール対象となる商品は賞味期限切れというわけです。だから安くなる。

ゆえに「なんだか今年のセールは質・量ともに豊富だなぁ」と感じるならば、商品企画がズッコケてしまったともいえます。お気の毒にと思いつつも感謝しながら掘り出し物を探しましょう。

では本題。

ショッピングバッグ

1 月は完全にセール一色

1 月
上旬 中旬 下旬
セール構成比 90% 80% 50%
セールの内容 秋冬物 秋冬物 秋冬物
プロパーの流れ 春物投入

※構成比は店頭陳列上のものです。以後も同じ。

セールセールセール

1 月はもう完全にセール一色と言っていいでしょう。コート等単価の高いアイテムが多いので、1 年の中で売上高も非常に大きな月となります。

割引率は 30% スタートが多いと思いますが、ブランドによっては最初から全品 50% OFF で始まることもあります。企業の方針によりますね。見かけ上の利益を重視するか、現金化を重視するか。

そして第 2 週の成人の日あたりで再値下げが入り、月末にかけてさらにオフ率が上がっていくケースが多いと思います。

プロパー春物はほんの少しだけあるがまず売れない

また中旬にはプロパーの春物が展開され始めます。しかしこんなセール一色のなかで売れるはずもありません。ほとんどの場合は「見せるだけ」にとどまります。

こんな時期に春物が売れるのは、固定ファンを持つデザイナーズブランドくらいじゃないでしょうか。

2 月は春物立ち上がるも売上はしんどい

2 月
上旬 中旬 下旬
セール構成比 30% 20% 0%
セールの内容 秋冬物 秋冬物
プロパーの流れ  春物立ち上がり

セール最終処分 & 春物立ち上がり

2 月に入ると店頭でのセール構成比はぐっと縮小されます。郊外型のモールでは 2 月下旬までセールを引っ張る場合もありますが、ふつうは遅くとも中旬には店舗の 80% が春物にチェンジ。

ただし春物の在庫はかなり薄~い状態です。陳列在庫のみでストック在庫なしという店舗もザラです。売れないけど見せておかないといけないという辛い辛い時期。

そして重たいセール品はお店の隅っこでまとめられている状態に。この時期まで残っている商品ということなので、価格についてはかなり思い切った設定をされていることが多いです。

この時期のセール品には掘出しものがある

しかし個人的にはこの時期のセール品はかなり美味しいと考えています。信じられないブランドが信じられない価格で販売されていることが多いのです。「こりゃ絶対原価割れてる(赤字)でしょ」という商品も多々見受けられます。

これ気づいてない人多いんですよね。どこのショップかって?教えなーい。

3 月はようやく春物実売期

3 月
上旬 中旬 下旬
セール構成比 0% 0% 0%
セールの内容
プロパーの流れ 春物実売へ 夏物投入

さすがに秋冬物セール品は姿を消す

3 月に入るとどこの店頭を見てもプロパー一色。※ 3 月までセールを引っ張っているようなショップは相当厳しい状態であることが想像されます。

とはいえ上旬はまだまだ冬の気候なので売れません。中旬からようやく動き始め、下旬にかけて大きく売れ始めます。

春物賞味期限は短いのでここで気合を入れて売る

しかし悲しいことに、春物の実売期はこのタイミングしかありません。特にスプリングコートのようなやや厚手アウター、綿素材だけど重量感のあるニットなど。4 月に入ると月末にはもうゴールデンウィーク(以下 GW )が見えてきて、もう春物を買おうなんて気にはなりませんよね。

そのため 3 月下旬はどこのブランドでも「◯◯フェア」を開催して顧客を集め、春物を一気に売っていきます。自宅に届く DM も増えることでしょう。

4 月は春物から夏物へ大きく入れ替わり

4 月
上旬 中旬 下旬
セール構成比 10% 0% 30%
セールの内容 春物 春物
一部夏物
プロパーの流れ 夏物実売へ 盛夏立ち上がり

月末 GW は春物処分セールが開催される

春物の消化がうまいこといかないと、4 月頭にセールコーナーが設けられることがあります。

中旬には夏物が前面に打ち出されて実売を迎え、さらに下旬 GW 前には早くも盛夏のリゾートを想起させる商品が打ち出されるようになります。

なお GW 突入前にたいていのショップでは大きめにセールコーナーが設けられます。思うように売れなかった春物、そして夏物だけどヤバそうな商品はここで早々に処分されることになります。

だって気温 30℃ の夏のセールでスプリングコートを出されても、なかなか買う気にはなりませんよね。まだ少し肌寒さの残るこの時期が春物を売る最後のチャンスと言っても過言ではありません。

モノによっては春物セール品はお買い得

逆に消費者目線だと狙い目でもあります。

春物は秋物と肉感が同じなので、ベーシックなデザインで落ち着いた色目のものであれば、秋に向けてこのタイミングで安く買っておくということができますね。

いずれせよ、このように春物の賞味期限は驚くほど短いのです。おまけに残るとすごく厄介。2 月で「在庫は薄く持つ」と書いた理由はここにあるのです。

5 月は GW が勝負

5 月
上旬 中旬 下旬
セール構成比 30% 0% 0%
セールの内容 春物
一部夏物
プロパーの流れ

5 月頭は GW で集客が伸び、プロパーもセールもしっかり売れていきます。だがしかし中旬以降は、その集客が嘘だったかかのようにとっても静かな状態が待っています。GW で月の目標の半分を取るくらいの勢いで攻めねばなりません。

GW が終わると売場の整理を行います。春物から盛夏物までが混在したカオスな店頭はきれいになり、陳列量も多すぎず少なすぎずもちょうどいい状態に。

ゆっくり商品を見たいならこの時期がオススメ。ショップスタッフは辛いですが。

6 月は実質セール頼み

6 月
上旬 中旬 下旬
セール構成比 0% 30% 90%
セールの内容 春夏物 春夏物
プロパーの流れ

月末には夏の本セールスタート!だがそれまでは本当に辛い

6 月は中旬まではさらに厳しい状態になります。梅雨入りもしてジメジメするわお客さんは来ないわ買わないわ、もう最悪。というかもう 6 月になると夏のセールが見えてきますので、そりゃ買わずに待つわと。

中旬には各店待ちきれずにセールコーナーを設け始めます。内容は GW のセールで見た春物、そしてやや鮮度のある夏物。

そして最終週の月末からは夏の本セールへ。春物は 50%O FF、夏物と盛夏物は 30% ~ 40% OFF というのが一般的でしょうか。ファッションビルでもしっかり盛り上げて集客してくれるので、なにも考えずに売りつくすのみ。

顧客向けには一足先にプレセール開催

なお月末からの本セール前に顧客を呼ぶことも多いです。だいたいセール開始日の1~2週間前ですかね。「顧客限定プレセール」というやつです。

店頭の商品には謎の●シールが貼られ、青丸●なら 30% OFF、赤丸●なら 50% OFF というように、コッソリと執り行われます。太い顧客を持つ店舗は、ここでものすごい売上を叩くもの。

セール品がない時期なんてほとんどないのね

上半期 = 春夏シーズンは以上となります。店頭にセール品がない時期なんてほとんどないことがわかりますね。

次の記事では下半期 = 秋冬シーズンについて、同じように月別に見ていきます。

続き▶ 月別に見るアパレルのセール時期と営業体制(秋冬シーズン: 7 月 ~ 12 月)

では再見。

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