アパレル業界巨大リストラ2連発!この流れはまだ続きそうな予感が・・・

企業は永遠に存続することを目指さないといけません。でももちろん業績は山あり谷あり。時には事業縮小や人員削減といった、いわゆるリストラを実施せざるを得ない状況に置かれることだってあります。

今回もそんな苦しいお話。長いことアパレル業界に身を置いていた人間にとっては、ちょっと驚いちゃうニュースが相次いでいます。

TSI ホールディングスの豪快リストラ

mixtokyo

画像:同社ECサイト MIX.Tokyo

まずは5/15に TSI ホールディングスから発表されたこちらのリリース。

既存事業の収益化に向けた構造改革(子会社の解散及びブランド廃止並びに人員体制の再構築)について

TSI ホールディングスは、東京スタイルとサンエー・インターナショナルという2社の共同株式移転により、2011年に設立された会社。当時の勝手なイメージとしては、お固いけど財務体質の強い東京スタイルと、ヤングキャリアに強いサンエーがくっつくということで、よりサンエーのブランド達が強化されていくのかな?と思ってました。

だがしかし・・・

  • 【解散】株式会社Planet Blue Japan
  • 【解散】株式会社TOKYOSTYLE インプレスライン
  • 【8/31でブランド廃止(東京スタイル)】①ブラン ルビエ ②スタイル コム ③ブリジット ④セーヌ ドゥー ⑤スタイル ミー
  • 【8/31でブランド廃止(サンエーint)】①ボディ ドレッシング ②レベッカミンコフ ③バービーキッズ ④ジル スチュアート ニューヨーク

2社、9ブランドという弩級の削減を発表。グループ全体で早期退職も募集するそうです。運が良ければグループ内での転籍もあるとは思いますが・・・いま携わっている人達はもう生きた心地がしませんがな。きっついなぁ。

負けじと最大手ワールドも大なたバッサリ

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画像:同社ECサイト WORLD ONLINE STORE

さらに5/18に国内アパレル最大手ワールドからも発表が。

ワールドが過去最大規模の大なた 不採算店を閉鎖へ、ブランドの撤退も

「アンタイトル」などのブランドを展開するアパレル大手のワールドは18日、平成27年度中に全約3千店のうち400~500店を閉鎖し、全約100ブランドの1割強にあたる10~15の不採算ブランドを廃止すると発表した。

産経WEST

ぎゃー、これもでかい。まさかのワールドがここまで思い切ったリストラを行うとは。

現段階で廃止するブランドまだ発表されていないものの、生産都合を考えれば早い段階で社内では周知されているんじゃないですかね。

しかし500店舗×5名としても、販売スタッフだけで2,500名の削減か。これまたすごい規模。ワールドの販売スタッフは基本子会社在籍となりますので、以後は業界内でこの会社からの人員派遣の営業が多くなりそ。

いったいどうやって店舗閉鎖をジャッジするのかについては、こちらの記事で書いています。

参考▶アパレル店舗の採算性を正しく判断するためには多角的視点が必要

リストラを行うことによる社外に対するマイナスインパクト

悲しい女の子

さてこうしたブランド廃止やリストラというのは、当該企業だけの問題では済みません。

デベロッパーへの影響

たとえば今現在これらのブランドがテナントして入っているファッションビルや百貨店。当然空き家にするわけにはいきません。同じだけの売上が見込めるブランドを探して出店交渉を進める必要があります。

しかし出店には莫大な費用がかかるもの。ブランド側からしても最も慎重になる案件ですからね、そう簡単には進まないでしょう。

もちろん同じ企業内の他ブランドを持ってくるという手もあります。でも今回のように社としてリストラ/コスト圧縮をかけていく方向性の中で、また新たにコストをかけて出店するということは難しいでしょうね。

生産メーカーへの影響

もっと致命的な影響を与える先は生産メーカーでしょう。毎シーズン安定した発注をもらっていた太い顧客がいきなり姿を消すわけです。社内の他のブランドに紹介する等の配慮はあるかもしれませんが、今までと同じだけの発注額はまず期待できません。

かと言って何もせずに製造ラインを寝かせるわけにもいきません。営業強化しかありません!

顧客への影響

最後にはやはりブランドの顧客(消費者)への影響です。自分が好きなブランドが無くなっちゃうって、けっこう悲しいものです。運営企業への信頼感というのは当然ながら低下します。

さらに「ブランド」「洋服」ではなく、販売スタッフという「人」にお客さんがついている場合はもっと大変。いわゆる「デキる販売スタッフ」。そのスタッフが他社に移るようなら、その人についていた顧客もゴソッと他社に奪われることになります。

このように不採算によるブランド廃止というのは、デベロッパー/メーカー/顧客にとって三方悪しの選択でもあるのです。でもやらないといけない。つ、つらい・・・!

今後もこの流れは続きそうな予感・・・

スパイラル

んで今後ですが、アパレル業界でこうしたリストラの流れは続いていくものと思います。

だってそのへんのショッピングモールのテナントを少し注意深く見てみてください。コンセプトも商品も似通ったショップだらけです。

今だとそうですね・・・

  • ターゲット:30代ファミリー(メンズ/レディス/キッズ)
  • コンセプト:アメカジベースのちょっとトラッドテイスト入れた感じ。あとサーフ要素とか。
  • 品揃え:洋服以外にキャンドルやアロマやらでライフスタイル演出。

こんなショップ。買い付けブランドもアイテムも、国内だけで仕入れようとするからかぶりまくり。ほらあなたの近所にも!

そんなこんなで、同質化 → 売れない → 価格競争 → 利益圧迫の繰り返しで、疲弊していくと。んで最後に悲しい判断をせざるを得なくなります。あんまり消費者を甘く見ない方がいいですよ、ほんと。

しかしそう考えると、今回のTSIとワールドの件も、もちろん影響範囲は大きいにしても比較的早い決断だったと言えるのかもしれません。携わっている皆さんにおかれましては、心中お察し致しますが、なるべく早く切り替えて次の職場で手腕を振るっていただくようお祈り申し上げます。

なお転職サイトは面倒でもいくつか登録しておいたほうがいいです。一発で決まるほど甘くないし、得手不得手もありますからね。

では再見。

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