契約書や請求書といった信書の送付は宅配便はNGって知ってますか

学生から社会人になってもっとも変化することのひとつに、「配送」作業があります。郵送/宅配便どちらも含め。

考えてみてください。学生時代なんて、郵送といえば年賀状くらいしかありませんでしたよね。最近だとメルカリ等のフリマアプリなどでの荷物配送は増えていると思いますが、それでも毎日の作業ではありません。

しかし社会人になるとそれは一変します。

商品/サンプル/見積書/請求書/カタログ/案内状/ etc… と、毎日誰かが何かしらの荷物を送り、誰かが何かしらの荷物を受け取ります。

学生時代とは比べもににならないくらい、他者との接点が増えているということですね。

宅配便で送ってはいけない荷物があること、知ってますか?

さて、ところでこんなやり取り社内でよく聞くと思います。

「あー、それ佐川(ヤマト)で送っといて~」

ですが宅配便で送ってはいけない荷物があること、知ってました?いや生物とかじゃなく、書類とかその類ね。

若い子はもちろんですが、オッサンでも意外と知らない人が多い気がします。

「どーいうこと?」と思ったそこのあなたはそのまま読み進めてみてください。

「信書」は宅配便で送ってはいけない

結論からいうとこのとおり。なんでもかんでも宅配便で送れるというわけではありません。

「信書」に該当するものを取り扱うことができるのは、日本郵便株式会社と信書便事業者だけなのです。

簡潔に言うと、信書の送付は「郵送」もしくは「飛脚特定信書便」以外は認められないと覚えておいたほうがいいです。

※もちろん日本郵便のサービスでも、宅配便であるゆうパックで信書を送ることはできません。

参考▶ 飛脚特定信書便|サービス一覧|佐川急便株式会社<SGホールディングスグループ>

そもそも信書とはなんぞや

「信書」について、郵便法 & 信書便法では下記のように定義づけられています。

「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」

ふむふむ。なんだかよくわかりませんね。では具体例を挙げていきます。以下、総務省 HP より転載。

書状
請求書の類 【類例】納品書、領収書、見積書、願書、申込書、申請書、申告書、依頼書、契約書、照会書、回答書、承諾書、◇レセプト(診療報酬明細書等)、◇推薦書、◇注文書、◇年金に関する通知書・申告書、◇確定申告書、◇給与支払報告書
会議招集通知の類 【類例】 結婚式等の招待状、業務を報告する文書
許可書の類 【類例】 免許証、認定書、表彰状 ※カード形状の資格の認定書などを含みます。
証明書の類 【類例】印鑑証明書、納税証明書、戸籍謄本、住民票の写し ◇健康保険証、◇登記簿謄本、◇車検証、◇履歴書、◇給与支払明細書、◇産業廃棄物管理票、◇保険証券、◇振込証明書、◇輸出証明書、◇健康診断結果通知書・消防設備点検表・調査報告書・検査成績票・商品の品質証明書その他の点検・調査・検査などの結果を通知する文書
ダイレクトメール
  • 文書自体に受取人が記載されている文書
  • 商品の購入等利用関係、契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言が記載されている文書

※ ◇印は個々の相談において判断された事例。

どうでしょう。日々よく目にする書類が多くないですか?

こんなやり取り、思い当たる節ありませんか

さてここで自分のオフィスを思い出してください。

宅配便以外に配送手段を知らない(他の手段を考えたこともない)

請求書佐川で送っといて~!

契約書原本、今日ヤマトで送っておきました~!

社内でそんな会話聞いたことがないですか?というか自分がやってませんか?

それらなにも考えずに宅配便で送っているなら、すべてアウトです。

宅配便最強説(既存フローを変えたがらない)

んでこういう指摘をすると、中にはこんな反論をしてくる人もいます。

宅配便のほうが速いし、追跡番号もあるし安心だと思います。

宅配便が本当に速いのでしょうか。比べたことがあるのでしょうか。全然違いないですよ。

郵送の場合、書留にも配達記録サービスがあります。大きめの封筒に入れた信書でもレターパックで郵送可能 & 追跡もできます。

こういう人は単に既存のフローを変えたがらない困ったさんですな。

罰則もあるから気をつけよう

総務省からはこのようなアラートが出ています。

現在、日本郵便株式会社及び信書便事業者以外の者により、信書に該当すると思われる文書が送達されているという事例が散見されております。

このような行為は、郵便法第4条違反となる可能性がありますので、信書の送達に関しては十分ご注意いただきたくお願いします。

総務省|信書の送達についてのお願い

郵便法第 4 条に違反するとどうなるのでしょうか。郵便法を調べてみると下記のような罰則規定がありました。

第七十六条 (事業の独占を乱す罪)  第四条の規定に違反した者は、これを三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

郵便法

冒頭書いたように、信書の配達は日本郵便株式会社と信書便事業者に限定されています。ですので、それ以外の業者が信書を配達すると、配達業者が上記のような罪に問われてしまうのです。

(信書と「知っていて」配達した場合だとは思いますが)

請求書を勝手に宅配便で出した人は罪に問われないと思います。たぶん。しかし配達業者に多大な迷惑をかけてしまう可能性があることはしっかり理解しておきましょう。

知らなかったという人は、いまこの瞬間から改めよう

企業のコンプライアンス(法令遵守)が重視される昨今。

「うちはコンプライアンス重視してます!」とビシっと決めたところで、そんな会社から契約書が宅配便で送られてきたらどうでしょう。担当者のリテラシーの低さが露呈することはもちろんのこと、相手先にもその程度の企業かと思われてしまいます。

さらにひどい場合は、上述のように善意の宅配業者が罪に問われる可能性もあると。これはシャレにならない。

ということでご存じなかった方は、いまこの瞬間から改めてくださいませ。周りの人にも教えてあげてね。

では再見。

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  1. 時計
  1. SEK 2019.06.06 10:33am

    「配達業者が上記のような罪に問われてしまう」とありますが、差出人、つまり送った人も刑事罰の対象になります。実際に書類送検された事例もありますから、気をつけましょう。

    • アバター画像
      五反田ひろし 2019.09.16 4:10pm

      SEKさん

      刑事罰になるって、一般的な企業の信書のやり取りレベルの話じゃなさそうですね。

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