はじめに
当ブログでは、2015 年以降の GAP のセールスケジュールの仮説と検証を行っていますいました。過去には毎回記事にしていましたが、最近は大変なので Twitter で予測と最新情報をお知らせしています。それと同時にこの記事内でもコメント入れつつ更新しているというスタイルです。
よろしければフォローしてください。
直近 2 年分のセール実施実績もまとめてあります。記事下部リンクよりどうぞ。
大事なお知らせ
数年間ウォッチしてみてわかったことがあります。詳しくは下記よりリンク先の記事をご覧ください。
参考▶ GAP での買い物で 40% OFF がベストタイミング
大事なお知らせ②:2020/6/15
この仮説と検証を行い始めたときと比べると、2020年6月現在のファッション市場は大きく様変わりしました。新型コロナウイルスの影響もありますが、大きなブランドや企業がいくつも破綻しています。今後もこの傾向は続くことでしょう。
GAPに関しては2018年ごろからのセール乱発のツケで業績は良くないように想像されます。てかトレンドともぜんぜん合っていないし。
つまりGAPも大きく変わっていくんだと思いますし、変わらなければ生き残っていけないでしょう。
と考えると、この記事の役割もいったんここで終えられるのかなと思います。以後は何かトピックがあれば都度追記していきます。
大事なお知らせ③:2020/9/4
GAPが価格見直しとのこと。これまでのプロパー価格の6~7掛けって感じかな?
「シンプルでわかりやすく、いつでも気分よく手にとれる新価格」 pic.twitter.com/xoAYM83WgB— 五反田ひろし (@higotanda) August 26, 2020
GAPも変わっていかなきゃねーと書いたら変わるようです。品質据え置きでの新価格は、これまでのプロパー価格の6~7掛け(30%~40% OFF)ですね。
「いままでぼったくりやないけ!」と叫ぶ方もいらっしゃいますが、まぁ前の価格で価値を感じて買ってたわけですから、いいじゃないですか。
ともあれこの価格改定により、今後のセールスケジュールはがらっと変わることになります。
すべてが変わるし、変わらないとやばい
プロパー消化率がぐっと向上するため(しないとやばい)、期中にセールをするほど在庫は残らなくなります。やったとしても店内のワンコーナーでしょうし、そのコーナーに並ぶ商品も「そら残るわな」というツラをしたものばかりになるでしょう。
期末のセールくらいはやるでしょうけど、それでも全面セールにはしないでしょうし、オフ率の低下も間違いありません。
売れ方も、客の流れも、これまでとはガラッと変わることになるでしょう(変わらないとやばい)。
と、それくらい事業の在り様をがらっと変えることになる今回の価格改定です。
健闘をお祈り申し上げます。
ベーシックアメカジの友、GAP
世界最大級のアパレル SPA ブランドである “GAP”。お手頃価格のアメリカンカジュアルというイメージです。デザイン面でのトレンド打ち出しはあまり強くありません。デザインはベーシック+色や素材でトレンド感を演出する感じ。
私も年に何度かはお世話になります。購入するアイテムは、ごくごくベーシックな定番アイテムばかり。綿 100% の無地ボタンダウンシャツとかチノパンとかですね。
いわゆるオシャレアイテムではありませんが、平日オンタイムに着用するようなベーシックアイテムはかなり重宝します。
GAP の買い物には実は「買い時」が存在する
ただこちらの GAP さんですが、何も考えずに購入しようとすると損しちゃうかもしれません。いや損じゃないですね。お得じゃなくなるかもしれません。
「買い時」というものが存在します。
かつて主流だった段階的値下げ
2015年くらいまでは GAP の店舗の前を通りかかると、「○○% OFF」の POP とともに販売スタッフが「○○% OFF でーす!」と声出しをしている姿を見かけることが多かったです。ほぼ毎週やってたんじゃないの?というくらいの頻度。
例えばとある週末
「全品 30% OFF でーす!」
うほっ安い!こりゃ買いですかね?
いえ、ちょっと待ってください。30% OFF で買うのは素人。もう少し待ってみましょう。
次の週末
「全品 40% OFF でーす!」
おっとさらに 10% ダウンした!お目当てのアイテムも売り切れちゃうかもしれないし、もう買わせてもらえませんか?
ダメです。あと一週待ってください。
次の週末
「全品 50% OFF でーす!」
ここです。私の経験上、50% OFF に切り替わった時が、最も品揃えと価格のバランスが良くなります。
でももっと価格下がるんじゃないの?と思いますよね。もちろん最終は 70% OFF まで下がります。しかしその頃にはもはやタダでも要らないような残り物ばかり。「ああ、50% の時に買っておけば良かった・・・」と後悔することでしょう。
2016 年からはいきなり 50% OFF パターンも増えた
2015 年 ~ 2016 年はできるだけ GAP の店頭を観察してみました。そこでわかったのは、従来の 30% OFF に始まり段階的に価格が下がっていくやり方が少なくなったこと。
「ある日突然 50% OFF 」が増えました。
消費者が段階的な値下げに気づいてしまった可能性があります。そうではなく、段階的な値下げよりも突然下げるほうが需要喚起につながり、結果的に利益が残ることがわかったのかもしれません。LINE の友だち登録やオンラインメンバー登録限定セールも少なくなかったので、会員数を増やすことにも比重を置いたのかもしれません。
結局のところ、あれこれ考えて手を打ち続けているということなんでしょう。セールはその中の一手にすぎませんし、今年はまたまったく別のやり方になる可能性もあります。もちろん来年も。
あまり景気の良い話を聞かないアパレル業界ですが、その中で生き残っているブランドは、同様に手を打ち続けているんでしょうね。
何はともあれここがベストタイミング
まぁ消費者にとってはブランド側の都合など知ったことではありません。
繰り返しとなりますが、GAP においてモノと価格のバランスが最も良くなる
GAP での買い物は 50% OFF がベストタイミング
ということを頭に入れておきましょう。
50% OFF セールはいつ開催?
GAP の買い時についてはわかりました。
でも次に気になるのはいつ 50% OFF になるのかですね。GAP の場合は「市場が盛り上がる時期に合わせてセール開催する」ことがほとんどです。
2019/12/11 更新:2018年と 2019年のセール開催時期
2018年 | 2019年 |
1 月頭( 12 月からの流れ) | 1 月頭( 12 月からの流れ) |
4 月 24 日(火)〜 5 月 7 日(月) | 4 月 24 日(火)〜 5 月 6 日(月) |
6 月 21 日(木)〜 7 月 | 6 月 28 日(金)〜 7 月 |
10 月 10 日(水)〜 10 月 21 日(日) | なし ※10月11日からトップス縛り50%OFFが開催 |
11 月 23 日(金) 〜 11 月 25 日(日) | 11 月 22 日(金) 〜 11 月 24 日(日) |
12 月 11 日(火)〜 1 月 | 12 月 11 日(水) 〜 1 月 |
昔と比べるとだいぶ減ったもんだ。
なお一般的なアパレルブランドのセール時期については、こちらの記事をご参照。
▶ 月別に見るアパレルのセール時期と営業体制(春夏シーズン: 1 月 ~ 6 月)
▶ 月別に見るアパレルのセール時期と営業体制(秋冬シーズン: 7 月 ~ 12 月)
国内の一般ブランドと比べて、セール開催頻度と割引率が高いことがよくわかります。
ところでなんでそんなにセールしまくってるの?
一般的なブランドは人が多い時に利益率の高いプロパー商品を売ろうとします。しかし上述のように GAP は真逆です。人が集まるときを狙い、確実にセールをぶつけます。
でも普通はセール = 利益がなくなります。普通セールにかける商品は「売れ残り」で、値下げして利益を減らしてでも現金化したいから、やむなくセールを行います。
そんな中、なぜ GAP はあえてピーク時にわざわざ利益を下げて自分の首を締めるようなことをするのでしょうか。
答えは原価率にあり(たぶん)
私 GAP の中の人じゃないので断言はできませんが、おそらく彼らは、セールしても痛くない程度の原価率で商品を生産しています。換言すると、利益率が異様に高い。
実はセールしても利益率には余裕がある
たとえば。仮に原価率が 50% だとしたら、50% OFF で販売すると利益はゼロ。そりゃそうだ。
では原価率 30% なら?単純計算で 20% の利益が残りますよね。
おそらく GAP がすごいのはここ。想像ですけど GAP の原価率って 15% 程度じゃないですかね。この原価率であれば、50% OFF で販売しても 35% も利益が残ります。なんなら 70% OFF にしても利益が出ます。
んで消費者のお買い物モチベーションが上がる時期に合わせてセール開催します。もちろん利益率は下がるものの、額としての利益はちゃーんと残って現金化もされると。
プロパー時期は売上下がるも利益は確保
いまこの記事を読んでいるあなたも、書いている私もセール大好きのはずです。しかし世間一般の人はふつうにプロパー(値引なし)でも購入しています。
原価率 15% だった場合、プロパーで販売すればなんと粗利益率 85% とウッハウハ。もちろんセール時と比べて購入件数が減るので売上高も下がりますが、利益額は確保できます。
巨大な規模と綿密な計画ありきですけどね
またそんなことが可能になるのも、GAP が世界規模で生産できるから。まずはこれが大前提。そりゃたくさん作れば安くなります。※クオリティキープは言わずもがな。
詳しくはこちらの記事でも触れています。
参考▶TOPSHOP は完全に日本から撤退?失敗した原因/理由を考えてみた
加えて綿密な計画です。
上記の生産、販売と利益と在庫、そしてキャッシュフローがリンクした期首計画があるはずです。全品 50% OFF のような大きなセールはおそらく最初から年間計画に含まれていると思います。
本部の担当は毎週進捗を追いかけ、状況に応じて販売政策をあれこれ打っていることでしょう。
2018/10/22 追記:大きな変化が見えた 2018 年
上述のセール日程からもわかるように、 2018 年はセールタイミングを大きく変えてきています。いえ、タイミングを変えているのではなく、回数を減らしています。
なぜセールの回数を減らすのでしょうか。
①セールスが調子よく、セールにするほど余剰在庫がなかった
まずこれ。最高ですね。
でもこれまで
一般的なブランドは人が多い時に利益率の高いプロパー商品を売ろうとします。しかし上述のように GAP は真逆です。人が集まるときを狙い、確実にセールをぶつけます。
こういうやり方をしていたブランドです。おそらくプロパー期のセールスが良ければ、この機を逃すな!と超短サイクルで追加生産をしていたことでしょう。
さらにブランド全般で世界的に不調が囁かれている中、日本だけ異様に売れて在庫が無くなってしまう事態はありえないでしょう。
②もともと生産を抑えていた = 方向転換
私はおそらくこちらが理由だと思います。
生産を抑える、すなわち販売計画を下げたということです。しかしただ単に売上高を下げるということはありえません。売上高を下げるのであれば、その代わりになにかを改善させるはずです。
その「なにか」を利益率と仮定すれば、セールを減らす理由が見えてきますね。
おそらくこれまでのような、大量生産・薄利での大量販売・利益率は悪いが利益高は大きいよ!というビジネスモデルに限界が来ているのでしょう。
そもそものセール計画を減らし・生産を抑え・売上は減らしつつも利益率を改善させ・利益率と利益高のバランスを見直す、という方向へ舵取りし始めたのではないでしょうか。
とすると、この 50% OFF というイベントの希少性はより増していきますね。
購入は面倒でも必ず試着してから!
以上です。
このような法則をあらかじめ知っておけば、価格・品揃え双方がベストのタイミングで購入することができます。もしも普段から GAP で買い物をすることが多いような人は、知っておくと少しお得になるかも。
まぁでも、プロパーだろうが 50% OFF だろうが、自分が「その価格で買う」と価値を感じて買うわけです。「安く買えなくて損した」なんて過度に感じる必要はありません。
あ、最後に一つ。試着は必ずしてください。同じアイテム、同じサイズでもけっこうバラつきがありますからね~。
では再見。
いつも参考にさせて頂いてます。
今回のSALEは全品ではなく、対象商品のみでした…。
パティさん、コメントありがとうございます。
ド定番&最新作は一部セール除外で、セール品は 50% 以上のオフ率も多数、という構成でしたね。
7月に入ってから下げる可能性もあるので要チェックです。