TOPSHOP は完全に日本から撤退?失敗した原因/理由を考えてみた

 

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栄枯盛衰が激しいファッション業界ですが、このニュースはさすがにびっくりしちゃいました。

TOPSHOP は業界関係者にファンが多いブランドでした。デザインをパクって大きく参考にしてるブランドもあったほど(どことは言いませんがね)。うーむ、いったいなにが原因だったのでしょうか。ちょっと考えてみました。

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ファストファッションブランドの仕組み

まず本題に入る前に簡単に全体像の把握から。簡単にファストファッションブランドのポジショニングマップを作ってみました。

縦軸と横軸は見てのとおり。ブランド名の下にある()は日本国内の店舗数となります。多少の誤差はスルーで。

fast positioning

さてこうしたファストファッションブランドが成り立つためには何が必要なんでしょうか。

大量生産によるコストダウン

日本国内のブランドであれば5,000枚販売すれば大ヒット!という世界ですが、このファストファッションの世界は全っ然比べ物にならないくらいの物量での戦いです。少量でも数万枚、年間通じて販売するようなアイテムなら100万枚レベルでの生産をしているかもしれません。

それくらいの生産量があればさまざまな部分の効率化ができますので(※1)、商品原価を大きく圧縮することができます。

※1:「効率化できるよね?」と強いる企業もあるとかないとか・・・

商品原価が抑えられれば、小売価格も抑えることができます。つまりファストファッションとして成立するためには、そもそもこの大量生産→コスト圧縮ができないと無理というわけです。

工場

photo credit: Old Spaghetti Factory Streetcar via photopin (license)

大規模な販売チャネル

ただし闇雲に大量生産しても、店頭で売れなければ在庫が残るだけ。キャッシュが回らずすぐに倒産しちゃいます。

そう、大量生産を可能にするためには、その在庫の大半を販売することができるチャネルが必要なんです。単店の売上高にもよりますが、感覚値で言うと最低でも500店舗以上はないと難しいんじゃないでしょうか。

ちなみにユニクロはグローバルで約1,500店舗、ZARA で2,000店舗くらい、GAP は実に3,000店舗。TOPSHOP でギリ500店舗くらいだったと思います。もちろんブランドによって収益構造に違いがあるので、一概には言えませんが。

こうした世界規模の販売拠点に裏付けされた、大量ロット低価格の生産体制の両立。これがファストファッションの根幹をなすものです。

とても日本のブランドが国内だけで対抗できるボリュームじゃありません。

なぜ TOPSHOP は日本で失敗したのか

墓標

ここまでを踏まえて。

TOPSHOP は2008年10月、ラフォーレ原宿に1号店をオープン。そして2015年1月末に全店舗撤退に至るまで8年ちょっとの命でした。いったい何がダメだったんでしょうか。テイストやらデザインやらはさておき、構造の話で。

本国が直接進出しなかった

他の競合ブランドが事業を直接コントロールする日本法人を設立する一方、日本では T’s という法人が日本での独占販売権を得る形で事業を進めていました。

参考:TOPSHOP本格進出時のプレスリリース

ご覧になって分かるように森ビル系列ですでした。

グローバルな視点で見ると、仮に日本市場が厳しくても、他の国が良ければマイナス分をヘッジすることができます。しかし日本だけ別法人ということは、完全に独立採算制となります。収益が上がらない/キャッシュが回らなければ、そうしたヘッジができずに終了となります。

また円-ポンドの為替変動も激しく、2008年から2015年で1ポンド=120円~220円を乱高下。これも日本だけで吸収するのは大変だったでしょう。

グローバルのスケールメリットを最大限に活かすためにも、本国自ら進出すべきだったんじゃないかなと思います。

店舗数がぜんぜん足りなかった

1店舗いくら売ってたかは存じませんが、8年で5店舗ってのはどう考えても少なすぎ。これでは消費者ベースでの知名度は全然上がりませんし、収益ベースでも厳しいはず。感覚では少なくとも20店舗くらいはあっても良かったと思います。

大変失礼ですが、そこまで大事に温めて出店するようなタイプのビジネスモデルでもないでしょう。ガンガン出店してなんぼ。H&M なんて10倍ですよ。

本国自ら運営しないにせよ、国内でそこそこの店舗数があれば同等のヘッジができます。日本単独で事業運営する上では、ここが最も致命的だったんじゃないでしょうか。

※もちろん出店には莫大なお金がかかるので、言うほど簡単じゃありません。

結局マスに売れないと収益化はできない

好感度ピーポー必携のマストハヴブランド

なんて言われると聞こえはいいですが、売上には繋がりません。ビジネスとしては売れて利益が上がらないと存在意義がありません。そのためには一部の好感度層ではなく、裾野のマス層を捕まえる必要があります。

ユニクロが好例です。CM 等のブランディングに関わる部分はとことんお金かけつつ、毎週末に新聞の折込チラシで実売を狙う。

海外ファストブランドに関しては、通常は上陸時にぶわーっとPRして、その後のブランディングは店舗出店がメイン。同時にマス層へのアプローチへとシフトしていきます(のはず)。

H&M なんかは上記の例まんま。でもここは泥臭い中にも、たまにデザイナーコラボとかぶっ込んできて上からのブランディングも忘れない。そのへんとても上手ですね。

言葉は悪いですが、かっこつけてたら終わっちゃった。TOPSHOP はそんな感じがします。

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いつかまた会う日まで

サヨナラ

と、あーだこーだ言えるのも私が外野席のコメンテーター(©宇多丸氏)だから。

一番悔しいのは事業運営に関わっていたみなさんのはず。自分が関わった店舗やブランドが無くなる辛さは、私もよ~く分かります。本当に悔しいものです。もっともっと頑張りたかったことでしょう。

個人的に TOPSHOP は VMD(ディスプレイ/陳列)がずば抜けて優れていたブランドだったと考えています。「どう魅せるか」ということですね。店内はもちろん、新宿店や原宿店のウィンドウを眺めるだけでも楽しかったのですが、もう見ることができないのは非常に残念。

またいつの日か再見。

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