TSI ホールディングスやワールドといった、大手アパレルの大規模リストラ。あるいはユナイテッドアローズの大苦戦。そんな景気の悪い話が多い昨今のファッション業界。
参考▶アパレル業界巨大リストラ2連発!この流れはまだ続きそうな予感が・・・
ところがそんな沈んだ雰囲気に一石を投じる、非常に景気の良いニュースが流れてきました。
WEARISTA 新規募集100名 → 年間120万円分好きな服買ってね
画像:WEAR
それがこちら。
WEARの認定ファッショニスタ「WEARISTA(ウェアリスタ)」を新規で100名募集します。
6月中にWEARにてコーディネート投稿をしていただいた方の中から、いいね数やセーブ数などを考慮した上で「WEARISTA」として認定させていただきます。
さらに、認定された方には「ZOZOTOWNスポンサーシップ制度」によって、ZOZOTOWNでのお買い物で利用いただける月間10万円分のZOZOポイントを1年間継続して提供いたします。
太っ腹ですな。100人 × 年間120万円 = 1億2,000万円の協賛をするってことです。
WEAR にも歴史がある
ZOZOTOWN を運営するスタートトゥデイ社のアプリ “WEAR”。
ローンチ当時はリアル店舗の JAN コードをスキャンしてネットで情報検索。それから ZOZO で買ってもいいし、その店舗で買ってもいいという O2O モデルを推進していたと記憶しています。確か PARCO だけが賛同して実施していたような気が。
しかしその他大勢の百貨店やファッションビルは、自店舗のショールーミング化を危惧。テナントショップ側も、カシャカシャ店頭でスキャンされて気分悪いし接客の邪魔!ということで反発が強くなります。
その結果、残念ながらこの O2O モデルについてはテスト期間のみで終了しました。
ですが WEAR サービスはそれ一本ではありませんでした。もう一本の柱として、一般ユーザーが自分たちのコーディネートを気軽にアップ&シェアできるようなSNS機能も搭載していました。そう、今の WEAR です。
このように一方の O2O モデルがポシャったことによって、今の WEAR を用いた O2O サービスも絞りこまれて活性化した、という経緯がありました。皮肉なものですが、何が当たるかなんて分かりませんな。
スポンサー費用は単なるコストではない
さてこのスポンサー費用1億2,000万円。もちろん現金ではなく ZOZO ポイントですので、購入は ZOZOTOWN 内のショップに限られます。WEARISTA は月間10万円分も洋服やアクセが買えちゃうし、ショップ側も持ち出しは無いというナイスな企画。
スタートトゥデイとしても、WEARISTA 達が「購入すれば」ポイント分を負担しますが、月に10万円も使わない人も多いはず。とすると1億2,000万円は最大値であり、着地はせいぜい9掛けくらい≒1億円くらいで見込んでるんじゃないでしょうか。しかもポイントは月々の営業手数料と相殺でしょうからキャッシュアウトもなしと。
ちなみに平成27年3月期の決算を見ると営業利益は15億円程度出ています。キャッシュアウトこそ無いにせよ、そこだけ見ると結構負担は大きいように見えます。ですが実際のところは単にコスト視点だけでは測りきれない効果があるのです。
ZOZOTOWN スポンサーシップ拡大の波及効果
すごく簡単にかいつまみます。
WEARISTA
月々10万円で好きな服が買える。コーディネートで他の服も買う。人気者になりたいからそれ以外もバンバン買って WEAR にアップする。
一般ユーザー
WEARISTA の着こなしを参考にする。彼らの来ている服を WEAR 経由で ZOZOTOWN で買う。ついでにアレコレ買う。WEARISTA になりたいからどんどんアプリ使う。
ショップ側
WEAR 経由での買いまわりが増える。顧客が増える。以後の企画に活かせる。
などなど、相乗効果ありまくり。と考えるとスタートトゥデイくらいの規模なら1億程度は全然痛くない。むしろ安いもんでしょう。
100名の WEARISTA に選ばれるためのポイント
さてさてこの WEARISTA ですが、もちろん誰でもなれるわけではありません。
もちろん大前提は WEAR ユーザーであること。もちろんこれからユーザーになってもOKです。
んで6月30日までに WEAR にコーデを投稿!投稿!また投稿!
その後事務局での審査期間がおよそ一週間。WEAR 公式ページ上では明らかにはされていませんが、ここでのポイントは
- いいね数
- セーブ数
であると予想されています。そりゃそうか。
しかし単なる人気投票だと、今月から参加したようなぽっと出の新人には可能性がありませんよね。それだとこの企画の魅力も半減。
なので既存ユーザーに対しての「いいね」や「セーブ数」はもちろん最重要項目としてあると思いますが、おそらくは事務局推薦的なポジションも一定数確保されているんじゃないでしょうか。
いやすごく面倒だと思いますよ、そんな審査。機械的にできればどんなに楽か。でもこの会社の人達はそんなことも苦に思わずに楽しんで審査しそうです。
ということで、「良いね数」「セーブ数」はあるに越したことはないですが、何よりもとにかく渾身のコーディネートを送りつける!ということが重要だと思います。ファッションは票集めじゃないもんね。
業界のしがらみなんて気にせずどんどん突き進んでほしい
このスポンサーシップ制度の趣旨は、「ファッションをより楽しみ、より活性化させるファッション支援制度」です。
口だけ企業が多い中、この会社はいつもトップから末端社員までこういうことを真剣に考えているように感じます。その本来の趣旨を貶めること無く、パートナー企業も含めてビジネス的な成長も見込めることができるという、好企画なんじゃないでしょうか。
こんな企画が成り立つのも、そうした企業のスタンスが従業員だけじゃなくユーザーにまで浸透しているからこそですね。いい会社だな。
今後も古いしがらみとガンガン戦っていただき、いつでも消費者目線で、業界そのものを変えていってほしいもんです。
追記
WEAR 絡みで新しい企画が。
では再見。
コメント