オールドネイビーとバナリパの撤退・縮小の理由は差別化できない中途半端さ

当ブログにおける PV 数でオールウェイズトップ 3 に必ず食い込むのがこちらの記事。皆さん相当気になるようです。年間検証が終わったので記事にはしませんが、引き続き私もチェックは欠かさず行っております。

参考▶ GAP での買い物は 50% OFF セール期間がベストタイミング

さてこの GAP ですが、”OLD NAVY(オールド ネイビー)” と “BANANA REPUBLIC(バナナ リパブリック)” というブランドも運営しています。両ブランドは知っていても、GAP と兄弟であることは知らない人も多いかもしれません。

日本では 2005 年にバナリパが上陸。プランタン銀座のモード館が 1 号店でしたっけ?それから店舗数は増えて現在 51 店舗。

オールドネイビーは遅れて 2012 年夏に日本に 1 号店をオープン。それから短期間で店舗数数は急激に増え、現在 53 店舗。

ところが先日こんなニュースが報じられました。

米ギャップ、日本で「オールド・ネイビー」全店閉鎖へ

あらららら。そして追い打ちをかけるかのように追加発表。

バナナ・リパブリックが大規模閉店 オールド・ネイビーは日本撤退へ

特にオールドネイビーの撤退には残念な声が多いようです。しかし私としては、まぁ妥当な決断だなと思っています。

OLD NAVY は超激戦ゾーンで存在価値を見いだせなかった

OLD NAVY LOGO

まずオールドネイビー。そもそもこのブランドはどのようなポジショニングだったのでしょうか。以前 TOPSHOP の記事で使用したポジショニングマップを使ってみます。

巨大ブランドがひしめくゾーン

このマップにはオールドネイビーは不在でしたが、おそらくグリーンで囲んだ部分に位置すると思います。

fast-positioning2

これだけを見ると「あら競合ブランドに店舗数ではかなりリードしてるし、勝ててるんじゃないの?」とも考えられます。しかしこのマップはあくまでも一面でしかありません。

たとえば横軸をテイストではなく、「価格」に変えてみるとどうなるでしょうか。おそらくそこには H&M が入っていくるでしょうし、ユニクロだって入ってきます。さらには好調の GU も、しまむらも入り込むでしょう。おっと一気に超激戦区に様変わり。

さまざまな面で明確な武器(強み)が見えなかった

競合ブランドに勝っていくためには、価格なのかデザインなのか、それともオペレーションなのか、どこかで他よりも頭一つ飛び抜けていないといけません。しかしさすがに上記の超激戦のゾーニングでは、オールドネイビーには他社を脅かすほどの武器がなかったように思えます。

ビジュアルと価格

実際私も導入当初は何度かお店に行ってみましたが・・・きれいにしてるけど個性がないんですよね。なのに品質は価格なり。ベーシックでクリーンなアメカジなら GAP で事足りるし(もちろん 50% OFF でね!)、わざわざ質を落としてまでここで買う理由は無いよなぁと。

プロモーション

また話題作りも上手じゃなかったのかなと。プロモーションといっても、やるのは GAP 同様店舗割引プロモーションがメイン。GAP のように日本市場でポジションが定着していれば別ですが、そもそもの客数が少ない中で割引プロモーションを繰り返しても、どんどん疲弊していくだけです。

オペレーション、マーケット要因

そしてオペレーションに関して言えば、そりゃもう日本のユニクロ/GU/しまむらには勝てません。

さらにファストファッションも昔ほどの盛り上がりもないと。

以上より、日本のマーケットにおいては明確な存在価値を見いだせなかった。それがオールドネイビー全撤退の明確な理由だと思います。

バナナリパブリックも同じ理由

一方バナナリパブリック、通称バナリパ。

BANANA REPUBLIC LOGO

こちらは古いブランドですし、80 年代後半 ~ 90 年代前半にはプリント T シャツが大流行したこともあり知名度もありましたので、日本上陸も好意的に迎えられたと記憶しています。

やはり記憶に残らない

ただしこちらも特に特徴はありません。GAP よりもなんとなくカジュアル感が薄れて大人向け、そしてなんとなく価格が高い。印象は正直そんな感じ。アパレルの人ですらそうなんですから、一般の方はもっとそう感じているんじゃないでしょうか。

変化するマーケットに置いて行かれた

10 年前はまだかつてのネームバリューもあり良かったかもしれません。しかしここ 10 年で競合の数も増え、質も向上しました。特に日本で生まれ育ち、日本人を研究し尽くしているドメスティックブランドが成長著しかったと思います。

さらに 2008 年にはファストファッションも市場を席巻。単店で見れば良い店もあると思いますが、全体で見れば苦しい運営が続いていたと想像します。

結局オールドネイビーと一緒です。他ブランドを凌駕するほどの個性はない。ターゲットに向けたきめ細かい MD では日本のブランドに勝てない。ゆえに物と価格のバランスも悪く感じるようになると。置いて行かれちゃった感がありますね。

(あと余談ですが、バナリパは接客良くない店が多いと思いますよ。あそことかあそことか。グイグイ接客はいまどき流行りませんぜ。)

中途半端がいちばん食っていけない

ピエロ

日本のマーケットってすごく難易度高いんですよ。この狭い国の中に何でもブランドが揃ってますし、お客さんの目も世界一肥えています。だからこそ、中途半端なブランドは遅かれ早かれ淘汰されます。

結局は差別化ということ。

2000 年代初頭はまだ「アメリカで大人気のブランドが日本上陸!」でお客さんも呼べたし、そこそこ食えただろうと思います。しかし上述したように日本のブランドもすごい勢いで学びながら成長する。ネームバリューだけで食っていける世の中ではなくなりました。

そこそこ良いものをそこそこ価格で出していれば、そこそこ売れるだろう。

それはどの業界でも通用しないんだなぁと、改めて認識したこのニュースでした。あぐらかいてちゃいかん。

なかなかできない大きな経営判断だと思います

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そしてこの撤退(大幅縮小)の判断には、もちろん賛否両論あると思います。「私たちはもっとできる!」「わかってない!」内部ではそんな声も噴出していることでしょう。

でもしょうがない、これは大きな大きな経営判断です。前置きなしにいきなり「閉店しました」と夜逃げ同然で姿を消すブランドに比べれば、いや比べ物にならないくらい誠実だと思いますよ。「勇気ある撤退」と言っていいんじゃないでしょうか。

最後に、従業員の皆さまの悔しすぎる心中はお察ししますが、なるべく早く気持ちを切り替えて前に進んでいってください。撤退はあなたたちのせいじゃないです。

では再見。

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