「はじめまして!」
こちらの目を見た元気のよい挨拶が会議室に響き渡る。
私がよく出会う「できる営業マン」
(あくまでも例です)
ヘアスタイルは少し茶色がかった髪色で、短め & ワックスで無造作に散らした感じ。
服装はスーツではなくジャケット & パンツスタイル。今っぽいお尻が出る短め丈のネイビーのジャケット。ボタンはクリームっぽい色目がポイントになっている。
パンツはグレーのグレンチェック柄。センタープレスはかけられておらず、いわゆるビジカジ用途のものなのだろう。
インに着ているホワイトのシャツはドゥエボットーニ仕様。ボタンホールの縫い糸の色はネイビー。ボディのホワイトとコントラストが効いている。
足元はトゥがかなり細くなったドレスシューズだ。
名刺交換で相手の名前を発生するのは基本
はじめましてと軽く挨拶をかわしつつ、名刺交換を行う。
「五反田さんですかぁ、珍しい苗字ですね~」
こうして口に出すことで、相手に興味があるということを無意識のうちに知らせることができる。そして自分にとっても、相手の氏名を記憶させるというメリットがあるのだ。基本中の基本である。
それから軽いやり取りをして席に座り、いよいよ商談が始まる。
いきなり本題に入らない
「五反田さん、もしも五反田さんが◯◯というシチュエーションにいたら、どう思いますか?」
なるほど。商品サービスの説明から入るのは素人だ。売れるセールスマンは相手の心を動かさねばならない。もっと言うと、相手の想像力をかきたてるのが仕事であると言っても良い。
笑みを浮かべながら正直に思ったことを返答する。
「なるほどですね~。さすがですね~。実はいまおっしゃったことは~」
どんな返答であれここでは相手を立てつつ肯定をするのが定石だ。そいういう意味では返答の内容は関係ない。もちろんここから自社サービスにつながってはいくのだが、まずは会話のキャッチボールを行うことが重要なのである。そうやって相手の心の壁を少しずつ取り壊していくのだ。
適宜共感する
うちはこういうポリシーで、こういう思いでやってんのよね、なんて話もする。
「なるほどですね。先ほど五反田さんがおっしゃった、◯◯ということ。私も共感します。」
これもうまい。相手の意見に共感するという姿勢を見せることは当たり前だが、私はあなたの話をしっかり興味を持って聞いていますよ、というアピールでもあるのだ。悪い気持ちはしないだろう。
想定問答シミュレーションも事前に行っておく
しばらくは質問されたことに答えながら説明を聞いているのだが、概要が理解できたらこちらからも質問をし始める。この場合のコストは?社員に発生するオペレーションは?この場合の懸案事項は?etc
「なるほどです。それにつきましては~」
彼は詰まることなくスムーズに返答してくれる。まるで私の質問が想定問答集にでも掲載されていたかのように。
そうして商談が終わり、笑顔で彼とは別れた。
とどめは当日中(遅い時間)の御礼メール
その日の夜、しっかり当日のうちに彼から御礼メールが来た。
「本日は誠にありがとうございました!(中略)私は貴社の◯◯という理念に深く共感致しました!さらに五反田様がおっしゃった◇◇ということはまさに弊社サービスの本質を付いていると強く感じました。ぜひ弊社サービスも、そして私も、お力になれればと思います!(中略)条件面で気になることがありましたら融通がききますので申し付けください!それでは今後共宜しくお願い致します。」
商談時からのテクニックがふんだんに散りばめられた文章だ。集大成とも言える。キーボードの送信ボタンを勢い良くクリックする彼の顔が想像できる。
次はないわ
だがこの日以降、私が彼と会うことはなかった。
いやねすいません、私こういう営業嫌いなんですよ。いかにもどこかで学んだテクニックということが見え見えで。気持ちが見えません。出だしなんてマルチの勧誘かと思うわ。
参考▶ マルチ商法の勧誘と興味本位で対決すると、とんでもなく疲弊する
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