「サザエさん症候群」というものがあります。
日曜日の夕方から深夜、特に18:30から19:00にかけてフジテレビ系列で放送される『サザエさん』を見た後、「翌日からまた通学・仕事をしなければならない」という現実に直面して憂鬱になり、体調不良や倦怠感を訴える症状の俗称である。
たまたま当ブログにお越しいただいた皆さんの中にも、日曜の夜が憂鬱でしょうがないと感じている人はいるかもしれません。
私見ですがこのサザエさん症候群を発症する人は、オンタイムとオフタイムを明確に切り分けるタイプに多いと思います。オフタイム=休日あるいは就業時間後は、もう仕事のことは一切考えたくない。目一杯プライベートを楽しみたい。
だからサザエさんで楽しい休日の終わりが見える → 仕事のことを思い出す → 憂鬱になると。サザエさんもたまったもんじゃありません。
実は以前の私はまさにこんなタイプでした。
休日の業務が苦痛でしょうがなかった若かりし頃
以前といっても20代半ばくらいの頃だったかなぁ。当時アパレル企業に勤めていた私の職務の一つには「店舗管理」というものがありました。自分の担当店舗の予実管理、在庫管理、スタッフの管理育成などなど。
当たり前ですが店舗は365日、曜日関係なくオープンしています。一方でその担当は、オンオフを明確に切り分けたい土日休みの私。するとこんなことが起こります。
店は動いているし連絡も土日関係なく入る
日曜の昼間に突如鳴る携帯電話。
「あ、五反田さん、品番●●のジャケット、他店から取り寄せてくれない?いまお客様が待ってるの」
当時はリアルタイム在庫管理システムが無かったため、こうした問い合わせは電話で確認しないといけませんでした。
もちろん店舗間で連絡取り合ってもらい、あとで伝票を書いて報告してもらう形でもかまいません。しかし店舗スタッフにとっては、もしそれが売筋アイテムだった場合はお宝=他店に出したくないわけです。なので店舗スタッフ同士だと言いづらいこともある・・・ということで営業担当が間に入って指示を出すという流れがほとんどでした。
さらに店舗に電話をかけて指示だけで終わることはありません。そのアイテムを出すなら代わりにこのアイテムを送ってくれとか、他のスタッフの愚痴とか、何やかんや話を聞くことが多くなります。
対応を重ねるうちに吹き飛ぶ休日感
そうすると新しい問題や依頼事も出てきます。結局1本の電話の対応に数十分を要し、さらに新たな依頼まで振られてしまうと。あれやんなきゃ、これやんなきゃ!と、もはやせっかくの休日感は吹き飛びます。
オンオフを明確に切り分けたいという願望。その思いが強ければ強いほど、少しでも休日に仕事の匂いがするとテンションがどよーんと下がる。さらに追い打ちをかけるのがサザエさん。
そうして月曜朝は限りなく低いテンションで出社することになります。本人にとっても会社にとっても良いことはありません。
仕事が生活の一部になったら何も感じなくなった
一方で最近はどうかというと、全っ然そんな気分になることはなくなりました。理由は簡単です。オンとオフの境目が曖昧になったから。いつでも仕事のことを考えていますよ。もっと言うと曜日感覚もなくなりつつあります(いやあるけどね)。それくらいの感覚。
失敗だらけの起業で学ぶ
ただ自然とそうなったというわけでもなく、振り返ると明確な転機がありました。それはずばり起業。
仕事自体はもんのすごい苦労して頑張りつつも、結局失敗に終わりました。思い出したくもないw でもこの経験は私の仕事観を大きく変えました。
昔はいわゆるサラリーマンマインドだったんでしょう、昔は。仕事は振られるもの、給料はもらうもの、自然と上がるもの。少なからずそんなマインドだったんだと思います。
ところが実際に経営をするとなると、もう曜日なんぞ関係ありません。24時間365日、寝ても覚めても仕事のことを考えていました。最初こそきつかったのですが、徐々にそんな生活が当たり前に。
マインドは自分に染み付いた
んで今はまた世間的にはいちサラリーマンに戻ったのですが、このマインドは染み付いたまま。
いっつもどこかで仕事のことを考えています。盆だろうが正月だろうが、日曜夜だろうが、いつでもどんな急な話でも対応できます。それで気分を害することもありません。「仕事」という意識すら無いかも。
また不思議とそういうマインドでいると、休みの日には何も起きなくなるものです。不思議なもんだ。
「サザエさん症候群」はそのうち死語になる
働き方は人それぞれです。自分は良かったとしても、「休みの日に仕事なんてしないで!!」と怒られちゃう家庭もあると思います。
でも IT の進化に伴い、良くも悪くも、いつでもどこでもコミュニケーションが取れちゃう状況になっていることは事実。個人の臨む望まざるに関わらず、オンオフの境目はもっと曖昧になっていくんじゃないかな。
だとしたら、ひとり流れに逆らいオンオフを明確に区切るということは、少なくともこの先仕事を続けていく上でプラスには作用しないでしょう。
もしかしたら「サザエさん症候群」という言葉も、5年後には死語になっているかもしれませんね。実際私はそうあっていて欲しいなと思います。
では再見。
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