サッカーは学生の頃の体育の授業でしか経験がありませんが、なぜか 1 対 1 はサッカー部にも負けなかった五反田ひろしです(注:取られないようにキープする役目で)。
一方でキックの精度は抜群に低かった。サイドをドリブルで上がってセンタリング~のはずが・・・ 1 発目はディフェンダーの顔に直撃、こぼれ球拾って 2 発目は腹、さらにこぼれ球拾ってとどめの顔直撃→マジギレされてサッカーどころではなくなったという苦い思い出も。
と、そんな私のサッカー話は置いておいて、今回はすばらしいサッカー漫画をご紹介。
ANGEL VOICE:連載しながらどんどん化けてクラシック入り
9/4(木曜)の夕方、ついこんなツイートをしてしまいました。
注意!今週のチャンピオンは人前で読んだらいかん。 #angel voice #号泣
— 五反田ひろし (@higotanda) 2014, 9月 4
本当にやばかった。というかアウトでした。
どんな漫画なの?
千葉県、市立蘭山高校、通称「市蘭」。ここのサッカー部は「県内最強軍団」と呼ばれていた…。ただし、それはケンカでの話であり、荒廃したサッカー部を立て直すためにスカウトされた黒木は、「中学最強」(ただしケンカで)の4人を軸にチームを再生しようとする。そんなチームは冬の選手権県予選で、高校サッカー激戦区の千葉県にあって、ベスト4入りを逃すと廃部という条件を突きつけられてしまう…。
面倒なので wiki いただきましたが、だいぶ初期で終わってますね。
ちょっと補足すると、そんなこんなで地域での札付きの不良が 1 人 2 人と集まり、様々なトラブルを起こしながらも、熱血指導者とともに目標に向かって突き進んでいくというお話です。現在連載中につきこれくらいで。→無事連載終了しました。
設定だけ見るとかの名作 ROOKIES (ルーキーズ)とも似てます。が、読み進めるともっと似てる漫画があったことに気付くことに。
ANGEL VOICE が優れている点
まずは簡単ですがポイントを何点か取り上げてみます。
練りに練られたストーリー
こちら ANGEL VOICE の単行本 1 巻。
1 巻が発売されたのは 2007 年 9 月。にも関わらず、7 年後の今年の連載の中でこの場面が大きく使われることになります(ネタバレになるので秘密)。私も数えきれないくらいの漫画を読んできましたが、ここまでの伏線は経験無いです。7 年て。
つまりそれくらい事前にしっかり構想が練られていたということですね。作者の頭のなかには、すでにストーリーがすべてできあがっていた上での連載だったということでしょう。
気付いた時は鳥肌がたつと同時に、こんな作品をリアルタイムで読めていることに感謝しました。しかしこの場面、思い出すだけで涙腺がやばい・・・やばい・・・。
進行を急がずにキャラクターを丁寧に描いている
主人公的な存在は一応いるんですが、市蘭のチームとその周辺の人物全員にスポットライトが当たり、ストーリーは誰かの話に偏ること無く進んでいきます。
サッカー場面も端折ることなく丁寧に描かれています。そのため主人公チーム(市蘭) だけではなく、対戦するチームのキーマンにもスポットが当たります。みんなちゃんとサッカー体型なのもリアル。
慌てずに丁寧にストーリーを進行させることで、回を重ねるごとにキャラ立ちがはっきりし、我々読み手は本当に自然に感情移入しながら読み進めることができるようになります。
人気漫画家でもない人が(大変失礼)、週刊連載でここまで丁寧に描くことって結構難しかったんじゃないでしょうか。この背景にはやはりジャンプでもなくマガジンでもない、「チャンピオン」であることも非常に大きかったのではと思います。よっ太っ腹!
※これができない漫画は結構ある
クラシックと呼ばれるには「キャラ立ち」は必須。でもやっぱり時間がかかるんですよ。たとえばこの漫画。
週刊少年マガジン連載中。この人の漫画は以前もそうだったんですが、いつも登場してすぐに「物心ついたら俺には母しかいなかった」的な回想が始まります。癖なのかな。
やりたいことは分かります。しかし来週現れないようなキャラの生い立ちを説明されても感情移入なんぞできませんわ。軽いんですよ。
悪い例で取り上げて申し訳ないです。好きな人はごめんなさいね。
2016年7月追記
こちらの “DAYS” ですが、第40回講談社漫画賞・少年部門受賞を受賞されてました。おめでとうございます。私の目が節穴ということがバレてしまいましたが、印象は特に変わらないす。
マネージャーという絶対善の存在
誰にでもスポットが当たるという丁寧な展開はすばらしい。ただ誰にでも感情移入できるということは、一方でメリハリが無くなる可能性もあります。
でもそこはこんなストーリーを練ることができる作者さん、抜かりはありません。市蘭チームの女性マネージャー、彼女の存在が壮大なストーリーに一本筋を通します。
絶対善としての彼女の存在があるからこそ、相手チーム含めいろんなキャラ立ちがありつつも、我々読み手は主人公チームである市蘭に大きく感情移入することができ、心を揺さぶられるんでしょう。
ちなみにこのマネージャーがどんな子なのかはネタバレになるので秘密。ヒントは ANGEL VOICE。ああ、また思い出したら涙が・・・。
かのクラシック SLUM DUNK のサッカー版と言えるかも
勘の良い方ならもうお分かりですかな。この ANGEL VOICE という漫画はルーキーズじゃないんですよ。そう、あのクラシック「スラムダンク」に近いんです。
ストーリー展開の妙やキャラの立たせ方など、スラムダンクが持っていた要素をすべても持っています(試合中にセリフが無くなっていくのもそっくり)。
という意味では名作の方程式に忠実に則った作品なのかもしれませんね。
え?スラムダンクとどっちが優れてるか?それは聞くだけ野暮ってもんです。
※追記:クローズも髣髴とさせる
書き忘れ。キャラの抜け感とか、最終回の感じとか、名作「クローズ」にも通じるものがあります。
これから読むなら絶対1巻からどうぞ
このマンガには必殺技も奇跡もありません。理不尽な出来事も起こります。だけども少しだけ報われます。
たぶんラストまであと数話でしょう。襟を正しながら読みきりたいと思います。
あ、これから読むぜ!という方。頼むからチャンピオンから読まず、単行本から読んでください。
大人買いしたい方はこちらもご確認。
|
では再見。
恥ずかしながら最初はスラムダンクと絵が似てるからなんかパクリなのかなこれ・・・と期待しないで読んでいた記憶があります、しかしいつの間にかこれを見るのが1・2の楽しみになっていました。よい記事を見させて頂きました。
よかった!賛同者がいた!
norさん、コメントありがとうございます^ ^
チャンピオンは侮れませんな。