漫画「ギャングース」はまるでアンダーグラウンド・ヒップホップの世界観

「あなたの知らない世界」って番組、観てた人=オッサンいますか?怖面白かったですよね。

私が一番チビリそうになったのは、女の人が壁の中から出てくるやつでしたね。土曜の昼からアワワでした。

こういう嘘じゃないけど微妙なことをガチでやり切る番組ってやっぱり面白かったです。昔はそういう番組が多くて面白かったなぁ。

今テレビでそうした番組がない理由は、事実は小説よりも奇なりじゃないですが、現実世界の自分が知らないリアルの方がエキサイティングであることをみんな知ってしまったからじゃないでしょうか。

今回紹介する漫画もその筆頭と言えます。

ギャングース:あなたの知らない世界が確実にある

カズキ2

画像:モーニング公式サイト – モアイ

連載:モーニング(講談社)
漫画:肥後圭介
ストーリー共同制作:鈴木大介

あらすじはこちら。

生まれた時から親に虐待され続け、ろくに学校も行けずに青春期を少年院で過ごしたカズキ・サイケ・タケオの3人は、生き抜くために犯罪者だけをターゲットにした“タタキ”稼業を開始した! 3人の“生”への挑戦が今、始まる!!! 最大限に実話を基にした“超実証主義”漫画。

モーニング公式サイト – モアイ

ギャングースが面白いポイント

カズキ

画像:モーニング公式サイト – モアイ

リアル?ファンタジー?絶妙なストーリー

まずは何はともあれストーリー。

親がいて養ってくれ、食うもの住む家にも特に困ること無く、おまけに学費まで出してくれる。私もそうですが、ほとんどの人が程度の差はあれそうした「当たり前」の世界で育ってきました。

しかしこのギャングースで描かれている主人公、そして登場人物たちは必ずしもそうではありません。むしろ真逆の世界を生き抜いています。”Survive” という言葉がふさわしい。

この漫画に出てくる登場人物は、ほぼ全員が犯罪行為によって生計を立てています(他には無いですこんな漫画)。しかし彼らも好きでそんな行為をしているわけではありません。「それ以外に食っていく術が無い」「それしか知らない」のです。

自分たちの日常には無いもう1つの世界。まるで実話ナックルズのように、現実とファンタジーの境目が曖昧に。中高生の頃に読んだ不良漫画にも似た高揚感を感じながら読み進めることができます。

絵とストーリーが完全にマッチ

絵そのものはすごく特徴的で、もしかしたら苦手な人もいるかもしれません。そして失礼ながらきれいじゃないです。荒っぽくて時に汚い。でも、だからこそこうしたリアルを描く漫画においては説得力が格段に増します。

癖のある絵がストーリーを引き立てて読者を引き込んでいく・・・まるで福本伸行氏の漫画のよう。

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この絵(カイジ)が好き!という女の子にはいまだに出会ったことがないですが・・・w

キャラ立ち

これも作品の評価を左右する重要なポイントですね。

登場の瞬間から「ドッカーン!」というインパクトから入るタイプではありませんが、主人公たちはもちろん対立するキャラたちについても小出しに背景が語られていき、キャラに愛着が生まれます。

ちなみに私の一番のお気に入りはこちらの鰯田さん(脇役)。

鰯田さん

こんな絵他の誰も描けないわww

散りばめられたユーモア

細かいけどこれ重要。

作品中でも随所に散りばめられており、おかげで全体的にわりと暗い話のはずなのに楽しく読み進めることができます。

こりゃ完全にアンダーグラウンド・ヒップホップ

この作品の中では振り込め詐欺やタタキといった犯罪行為から、ヤクザや半グレ、中国マフィアといった犯罪組織についても丁寧に描かれています。犯罪の手口と背景を知ることは自分の身を護ることにもつながります。

またもっと重要なのは、冒頭にも書いたような「それ以外に食っていく術が無い」「それしか知らない」子供たちの存在を知ることです。もちろん漫画ですから多少デフォルメされていると思いますが、それに似た環境で育ち大人になった人間は少なからず存在するということを知ることができます。

だから何ができる/何をすべきということは正直分かりません。が、「知らない世界を(変な色眼鏡無く)知る」ということは非常に重要だと思いますよ。

とここまで書いて気づきましたが、この作品はかつてのアンダーグラウンド・ヒップホップの世界と似ています。銃や麻薬のことをラップするけど、重要なのはそこじゃない、そうした環境で犯罪に手を染めないと生き残れない現実を知ってくれ、という。

ということで、内容上万人にウケるタイプではないですが、五反田的な名作となり得る漫画の要素はすべて満たしたこの作品。リアルタイムで読んでいる私としては、毎週木曜日が待ち遠しいです。

これから読むぜ!という方はぜひ1巻から順番にどうぞ。

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よりリアリティを求める方は原案でどうぞ。

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では再見。

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