4月は新社会人の初々しい姿をそこかしこで見るようになります。まだスーツに着られている感があるのもこのときだけ。1か月たち2か月たち、6か月も過ぎれば見違えるようになり、スーツを「着こなす」ことができていることでしょう。
その原因は「慣れ」です。
もちろんスーツというアイテムを着慣れてきたということ。しかしそれ以上に仕事や社会人生活に慣れた、ということが大きいです。
大なり小なり自分に自信が芽生え始め、それが身のこなしや着こなしに現れるようになります。社会人としての真のスタートはここからと言っても過言ではないでしょう。
だがしかし、その自信は時に過信に変わることがあります。過信により視野が狭まりあらぬ方向へと進ませる一因にもなります。
その代表例はスーツの着こなし。やっと本題。
ここからは私がよく目にする社会人としてアウトなスーツの着こなしを詳細にお伝えします。もちろん新卒くんだけの話じゃありません。ひとつでも当てはまったらすぐ直しましょう。
ではカテゴリ別に。
ジャケットの着こなしNG例
丈が短すぎてケツがプリプリ
ジャケットの丈は長めよりも短めの方が流行です。ヒップが全部隠れるくらいの丈は長すぎに感じられます。ヒップ半分隠れるくらいがちょうどいい気がしますね。
でもね、ヒップがほとんど丸見えくらいの丈は、間違いなくNGです。
ていうかジャケット単品ならわかりますが、スーツでそんなのどこで売ってるの?というレベル。でも目にするからしょうがない。
おまけにこの手のジャケットを着ている人って、だいたい小太り体型。ただでさえプリプリしているケツが余計に目立ちます。
どういう経緯でその丈のジャケットを選んだのかわかりませんが、変に冒険してはいけません。
ジャケットに物詰め込みすぎ
ジャケットにはたくさんのポケットがあります。スマホやペン、ノート、名刺入れ、財布、ハンカチ・・・入れようと思えばいくらでも入れられます。
ですがスーツのジャケットに物を入れるのは、原則としてNGであるという認識でいたほうがいいでしょう。私も胸ポケにチーフ、内ポケに名刺入れを忍ばせるくらいです。
なぜ物を入れてはいけないのか。それはシルエットが崩れてしまうからです。
商談の際、相手がジャケットに物を詰め込んでモッコモコになってたらどう思いますか?「カバン持てや」と言いたくなるでしょう。
ジャケットのフロントボタン全留め
これもたまにお見掛けします。特に3つボタンジャケットで全留めはなかなかの威圧感。
いろいろとテクニックや流行はありますが、とりあえず一番下のボタンは外しておきましょう。
仕付け糸付けっぱなし
きゃーこれは恥ずかしい!
バックのベント(切れ目のこと)には購入時に仕付け糸が軽く縫い付けられています。これを取らずにそのまま颯爽と着こなしていらっしゃる方も一定数いらっしゃいます。
せっかくのいいジャケットが台無しですよ。
パンツの着こなしNG例
サイズ大きめパンツの腰履きでストリート意識
これほんと嫌い。なんでしょうね?「俺はサラリーマンになってもストリートスタイルを忘れないぜ」アピールでしょうか。
私服でやれと。
シルエットが合わずケツがプリプリしている
ジャケットの丈のところでも書きましたが、なぜかスラックスがピチッとしていて、ケツがプリプリ目立つ人の多いこと。やはり小太り体型に多い気がします。
細めのほうが逆にきれいに見えますよーとか言われて買ったのかもしれませんが、小デブ体型であることがきれいにバレるだけです。
ポケットに物を詰め込みすぎ
ジャケットに物を入れないことを知ってか知らずか、逆にスラックスのポケットに異様に物を入れている人を見ることがあります。
もうそのポケットに何が入っているのか、一目でわかっちゃうレベル。
当然シルエットも大崩れ。いくら物を入れてないジャケットを羽織ったとしても、まったくカバーできません。
財布はシルエット崩れ要因の最たるもの
蛇足ですが、財布を知りポケに入れてる人いますよね。あれは自分が思っている以上にシルエットを崩しています。
おまけに財布の寿命も半減、いや1/10と言っても過言ではないでしょう。
参考▶︎ ホワイトハウスコックスの三つ折り財布の経年変化をビフォーアフターで確認してみた
財布はカバンに入れて持ち歩いたほうがいいですね。
シャツの着こなしNG例
シャツの袖口からインナーのロングTシャツがチラリ
これはダサい。ダサすぎます。
シャツのインナーには何も着ない、あるいは無地の肌着が基本です。
※インナーに何も着ないのは逆セクハラと言われる可能性がありますので、ケースバイケースでどうぞ。
寒かったらアウター着ろよっつー話ですね。ああダサい。
インナーの柄Tシャツが透けて見える
あああ、ダサい。本当にダサい。ていうか失礼です。
シャツのインナーには何も着ない、あるいは無地の肌着が基本です。2回目。
柄を透けさせる人間には2種類いる
スーツというか洋服自体に興味がない人が適当に着ているパターン。これは無知なだけなので、教えてあげればいいだけでしょう。
しかしたまにいるのがブランドロゴTをあえて透けさせている痛い人。「俺はサラリーマンになっても(略」でしょうか。間違いなく周りからバカにされているのでやめたほうがいいでしょう。
インナーのTシャツのネックが詰まりすぎている
第一ボタンまでしめてネクタイを締めたにも関わらず、首元からインナーのTシャツがこんにちは。インナー用アイテムではなく、ふつうのTシャツを着てしまったんでしょう。
お願いだから原色系のTシャツは着ないでください。
シャツがシワシワ
だらしないですね。
自分の外見すら管理できない、すなわち仕事もだらしない、ひいてはそんな人間を雇っている会社も知れたものだと思われる可能性があります。
ワイシャツなんてクリーニング出してもせいぜい200円程度なんですし、それくらいの手間はかけましょう。
仕事終わりにシャツを出す
「あ〜会社に縛られるのは終わり!これがいつものラフな俺だぜ!」というアピールでしょうか。そのアピール、自分が思うほど誰も見てないですし、逆効果でしかありません。
痛い奴が定着する前にやめましょう。
ボタンダウンシャツの襟ボタンが外れている
これまただらしない。よく見かけますが、ちゃんと留めましょう。
なおファッション業界の中では、遊び心を表現するためにボタンダウンシャツの襟のボタンを「あえて」片方だけ外す方もいらっしゃいます。でもそれは普段から超絶おしゃれマンだからこその技ですし、見る方も業界の人だから通じます。
もちろん一般的な会社ではそんな遊び心は必要ないですし、見てる方にもそんな知識はありません。繰り返しますが単にだらしないと思われるだけなので注意しましょう。
シャツのボタン多すぎマン
実例を挙げると営業妨害になるのでやめときますが、通常ボタンが1個ある部分に2個〜3個あるデザイン。飾りかな?と思いきやちゃんとボタンホールも空いているんです。
朝寝坊したときとか大変そうですね。
それ以上にダサっ!と思われているのでご注意ください。
ドゥエボットーニとトレボットーニは避けよう
ドゥエボットーニとは、襟部分にボタンが2つついてるデザイン。トレボットーニは3つです。
ちゃんと調べてないんで間違ってたら申し訳ないですが、そもそもこれは、ノーネクタイでも様になるようなイタリアンエレガンスな着こなしに端を発するデザインと記憶しています。
これをオンタイムのなんでもないスーツに合わせても、やはり合いません。
で、ボタンが増えれば当然襟も高くなります。一般的な日本人体型でトレボットーニのシャツを着ると、悲しいかな高い確率で番長にしか見えなくなります。
「御大」とか「先生」と呼ばれる方々にお任せした方が無難でしょう。
襟が2枚重ね
読んで字のごとく、ワイシャツの襟がなぜか2枚重ねになっているデザインです。なんの遊び心でしょうか。実例は我慢。
シンプルにダサいと思われます。
別生地の切り返し
襟の第一ボタンを空けたらチェックの生地がチラリ。腕をまくりあげたら裏地のチェックの生地がチラリ。チラリ。チラリ・・・。
クソダサと言い切ってしまっても過言ではありません。
※私見ですがIT系営業にこのシャツ多い気がします。
以上、シャツはかなり項目が多くなりましたね。それくらい危険度が高いことがお分かりでしょう。
一方で最後の4つを合わせて1つのデザインにした全部入りシャツも普通に見かけます。決して「普通ではない」ということは理解しておいたほうがいいでしょう。
足元のNG例
靴が汚い
シンプルながらも破壊力の大きなNG例です。オシャレは足元からとはよく言いますが、それくらい見られているものです。
埃をかぶっていたり、謎の汁が飛んでたり・・・靴が汚い人、意外と珍しくないです。軽く磨くだけで印象は違いますし、ぜひ気をつけていただきたいポイントです。
アンクルソックスを履いている
カジュアルなアンクルソックスを履いている人、わりとよく目にします。
あれはあたかも裸足でスニーカーを履いているように見せるために開発されたものなので、当然スーツの着こなしで使用するのはNGです。
革靴用のソックスもあるんですが、あくまでもカジュアルユース。オンタイムのスーツに合わせても笑われるだけなので注意しましょう。
靴に穴が空いている
えマジ?と思われるかもしれませんが、以外と目にします。だいたい歩くときにしわになる部分で、外側がほつれ→穴が空いている様子。
こんな人間抱えている会社って大丈夫?と不信感を持たれてしまうので、同じ会社でこんな奴がいたら、上長から注意してもらいましょう。
靴のかかとがすり減り過ぎ
靴は消耗品です。どんな靴だって歩き続ければかならずソールは減ります。特にかかとはもっとも消耗が激しい部分です。その昔は、かかとの減り具合で営業マンの腕がわかるとか言われたものです。たぶん。
ですがものには程度というものがありまして。
ソールが限界まで減り、もうそれ足見えてんじゃねーの??くらいの減りっぷりのサラリーマンを見かけることがあります。
なんか書いてて悲しくなってきました。
アウターの着こなしNG例
船長みたいなコートを着ている
キャプテンハーロックみたいな人、たまに見かけます。どこの船長でしょうか。
どういうタイプの人が着てるかは推して知るべし。それにしても誰か教育してやれや。
ブルゾンを着ている
ジャケットの上にMA-1を着ている姿を想像してみてください。そう、それです。
だからもうさ、誰かちゃんと教育してあげてよ・・・としか。
やたらとモード系デザイン
まぁ好きなのはわかるんですが、さすがにアグレッシブなデザインのコートはスーツに合いません。
「ああ、きみはおしゃれがすきなんだね」とニッコリされるだけです。
小物使いのNG例
ストリートブランドのバッグを使っている
もう何度目でしょうか。最後ですし改めて。
「俺はサラリーマンになってもストリートスタイルを忘れないぜ」
「高感度マンだぜ」
痛い奴以外に適切な言葉が出てきません。
いや出張で使うドラムバッグとかはまぁいいと思いますよ。でもスーツに合わせるのそれ・・・。
妙に存在感のあるシルバーリング
どういうポリシーでオンタイムのスーツにごつめのシルバーリングを合わせているのかはわかりませんが、周囲の人間はあなたのポリシーを知りません。これまた単に痛い人に見えるだけです。
私もシルバーリング好きですが、まぁさすがにオンタイムのスーツには合わせられません。自分がどうこうというよりも、相手がどう感じるか想像力を働かせたほうがいいですね。
正解はいつだってシンプル
以上が社会人としてアウトなスーツの着こなし例でした。わりといっぱいありましたね。
じゃあ逆に正解はというと、非常にシンプルです。
試着をしてジャストサイズのスーツを着る
シンプルを心がける
清潔にする
(姿勢良くする)
たったこれだけです。
下手に色気付くから、職場の変な人の真似をして痛い奴になるんですよ。
そのへんの激安スーツ屋さんではなくて、セレクトショップのドレスコーナーをまめに覗いてみるのがオススメですね。
なんか昔同じようなこと書いたような気がするなぁと思って検索したら、やっぱ書いてました。4年前とたいして変わっていないのは、筋が通っているのか、はたまた変化がないだけか。
では再見。
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