『鮫島、最後の十五日』 野郎が絶対に読むべき熱すぎる相撲マンガ

週刊少年ジャンプを初めて購入したのは、たしかまだドクタースランプアラレちゃんが連載されていた頃。それをきっかけに私のマンガ熱は湧き上がり、いまもその熱は続いています。※さすがにジャンプはもう読んでないけど。

本当にさまざまな種類のマンガを読んでいる中、やはり心に残るのは「王道」と類されるものです。綿密なストーリー展開とキャラ立ち。この 2 つだけなんですが、この 2 つが揃っているマンガにはそうそう出会うことができません。

しかしこれを書いている 2018 年 3 月現在、その 2 つの要素がバッチリ揃い、かつ最高潮に盛り上がりを見せているマンガがああります。

これはぜひ読んでほしい。野郎は絶対です。

※ 2018/7/12 追記しました。

鮫島、最後の十五日

それがこちらの作品。


鮫島、最後の十五日(1) (少年チャンピオンコミックス) [ 佐藤タカヒロ ]

一目瞭然、相撲マンガです。週刊少年チャンピオン(秋田書店)にて連載中。

グラップラー刃牙やクローズ、エンジェルボイスなど、男臭い名作を世に送り出す侮れない存在ですよ、チャンピオンは。

さて、なぜ「最後の」なのかが気になりますよね。

実はこのマンガは三部構成になっているんです。第一部からずっと読めば、「最後の」の意味がよくわかるようになります。

第一部:バチバチ


バチバチ(1) (少年チャンピオンコミックス) [ 佐藤タカヒロ ]

三部展開の中でのプロローグにあたる部分です。

暴力事件で角界を追放されたかつての名大関・火竜の一人息子、鮫島鯉太郎。幼いころに父を亡くし、火竜の友人に引き取られ育てられた鯉太郎は、手のつけられない不良少年として近隣に名を馳せる一方、ひとり誰に教わるでもなく相撲の稽古に励んでいた。大相撲の巡業の土俵で幕下力士を倒したことをきっかけに、鯉太郎は親方にスカウトされ空流部屋の門を叩いた。時を同じくして、火竜と因縁の深かった元横綱・虎城の息子で高校横綱の王虎も、父のいる虎城部屋へ入門。父親の代から続く王虎とのライバル関係を全国的に注目されながら、鯉太郎は力士としての一歩を踏み出す。

wikipedia

さすがはwikipedia、わかりやすい良いあらすじ・・・。

この第一部の見所は、主人公の鯉太郎の成長もさることながら、やはり 2 人の兄弟子(阿形と吽形)のドラマ。男ならグッとくるはず。

第二部:バチバチ BURST


バチバチBURST(1) (少年チャンピオン・コミックス) [ 佐藤タカヒロ ]

第二部では肉体的にも精神的にも成長しつつある鯉太郎、そして同期入門の力士たちの成長が描かれます。

白水が序二段優勝戦で鯉太郎を破り、吽形が引退してから半年。鯉太郎と白水は幕下に出世し、空流部屋には学生横綱の常松と引きこもり少年の大吉の2人の新弟子が入門した。優勝の最有力候補と見られる王虎をはじめ、天雷や石川といった同期、空流に因縁のある力士、十両を狙うまだ見ぬ強豪らがひしめく中、鯉太郎は白水、常松と共に波乱の五月場所に挑む。

wikipedia

ハイライトは親世代からのライバルである王虎との取り組みであり、手に汗握る大一番となります。

しかしこの第二部ではそれ以上に、「人物」を非常に丁寧に描写します。誰にどういう背景があり、どういう気持ちで相撲を取っているのか。鯉太郎との関係性は、前作からどのように変わってきているのか。

もちろん第一部からも丁寧に描写されてきたのですが、より深く描写することで、読んでいる側もどんどん感情移入できるようになります。

そうしてそれは第三部で花開きます。

第三部:鮫島、最後の十五日


鮫島、最後の十五日(1) (少年チャンピオンコミックス) [ 佐藤タカヒロ ]

改めて。

第一部バチバチの表紙と比較すると、髪型といい表情といい体型といい、鯉太郎も完全に力士になりましたね。

鯉太郎が五月場所で王虎を下し幕下優勝を果たしてから、5年の月日が流れた。前頭下位となった鯉太郎は人気力士としてファンに愛されるようになり、その実力も真っ向勝負で大関をねじ伏せるほどまでに成長していた。しかしその一方で、幕内力士として非常に小柄な体格と太りにくい体質、どんな相手とも全力で真正面からぶつかってゆくスタイルのためにその体は満身創痍、休場も珍しくなくなっていた。これが最後の土俵かもしれないという悲壮な覚悟を常に抱きながら、鯉太郎は土俵に上がり続ける。

wikipedia

十五日、つまり場所。

第三部の舞台となる場所では、これまで切磋琢磨してきたライバルや因縁の相手と戦っていきます。毎日毎日、死力を尽くして。

第一部、第二部で丁寧に描かれてきた登場人物とその背景は、すべてこのためにありました。「最後の十五日」という意味を、これまで読んできた人間なら誰でも感じ取れるでしょう。涙無くして読めません。

毎日の全力相撲で身体はどんどんボロボロになっていくのですが、一方で鯉太郎は「なにか」に気づきはじめます。

その「なにか」の正体がわかるのは、たぶん千秋楽。横綱泡影との一番なのだと思います。

いったいそのとき、鯉太郎はどうなっているんでしょうね。

親方ァ・・・泣

何歳だろうが、野郎は絶対に読むべし

という名作『鮫島、最後の十五日』です。

なお私好きすぎて先日の鮫島ー王虎の取り組みの後のやりとりを予想したんですが・・・

残念ながらハズレ!

ーいま自分が何歳だろうが関係ありません。「目の前のことに全力を尽くす」という当たり前のことを思い出し、力が湧いてくるすばらしい作品です。この歳でなかなかマンガから影響を受けることなんてないですもんね。

ラストまでそう長くはありません。まだまだ終わってほしくないけど、しっかり見届けたいと思います。

2018/7/12 追記

作者の佐藤タカヒロさんが 7/3 に急逝されました。それに伴い、今日発売の週刊少年チャンピオン 33 号で、この漫画は最終回を迎えました。

最後の十五日目を鯉太郎がどういう状態で終えるのか?泡影との取り組みを見ることができないのか?こんな中途半端な状況で終わってしまうなんて・・・すべてのファンがそんな気持ちだったと思います。

しかし、今日の最終話を読むとそんな気持ちは皆失せたことでしょう。なんなんでしょう、あの奇跡的な終わらせ方は。

本当に本当に残念ですが、こんな素晴らしい作品をありがとう!とお伝えしたいです。合掌。

では再見。

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