20年ほど前までは、東京三大ショッピングエリアといえば、渋谷と原宿、そして代官山でした。今でも初めて東横線の代官山駅に降り立った時の「何ここ、全っ然分かんない」感は忘れられません。
おそらくそれは古き良き代官山が残っていた最後のタイミングだったと思います。それからヒルサイドテラスやアドレスといった大型施設が建設されていき、さらに同時に小ぢんまりと運営していた小さなショップが姿を消していきます。
そして現在。私が代官山に行く理由は、ハリウッドランチマーケット関連のお店を見に行くか、蔦屋に行くくらいしかありません。
そんなどこにでもある街になってしまった代官山に、この2015年は大きな動きがあるんです。
代官山に大きな開発の動き
それが2015年春開業の、ログロード代官山なる施設。
地図で言うとこのへん。代官山駅徒歩3分ってところ。
東横線が地下に潜るので、スペースの空く旧線路部分にどがーんと建設するようです。確かに現地は絶賛工事中。全長220mの区画に5棟の商業施設を建て、そこに複数のテナントが入るとのこと。
- フレッド・シーガル
5棟のうち3棟も使う、この施設のアンカーテナント。一言で言うと「アメリカ西海岸セレブ御用達のライフスタイル提案型高感度セレクトショップ」です(長い)。
- タルティーン ベーカリー&カフェ
サンフランシスコ発の、全米 No.1 ベーカリーだそうです。一緒に4大サードウェーブコーヒーと言われる、フォーバルコーヒーも展開。
- スプリングバレーブルワアリー東京
これだけ日本発で、キリンビールさんの新業態。その場で作るクラフトビールを飲めるそうです。
ふーん。
ただし代官山には想像以上に人がいない
しかし代官山ってそんなに人いましたっけ?採算取れるのかな?
2013年のデータですが、東急東横線の1日の平均乗降客数と、それを並び替えたランキングを作ってみました。
ソース:東急電鉄
なんと下から数えた方が早い。3万人って思った以上に少ない・・・。
イメージの前にデータが霞む
過去はいつでも美しい。
代官山に対する謎の幻想
代官山には人がいないってことは、もう何年も前からみんな知っています。私がわざわざデータを出すまでもありません。
だがしかし、なぜかみんな代官山を神格視するんですよ。ファッション業界なんてその最たるもん。
なぜかというと、やはり冒頭に書いたような「かつての好感度な代官山」のイメージが頭にこびりついているから。「そうは言っても代官山でしょ?」というよく分からない感覚があるんです。
若い人にはこんな感覚はないと思います。こんな感覚を未だに持っているのは、まさに青春時代を代官山で過ごしたオッサン連中。もしくはそれに憧れていたオッサン。私なんかよりももっと上の世代です。
(私も苦労したことが多々ありますw)
結果、開発ありきで話が進む
こうなるともはやデータなんぞ意味をなしません。すべてが自分にとって良いように読み取られ使われていくことになります。外部マーケターがいたとしても、偉い人の意向があれば「まぁそういう見方もありっすね」となっちゃいます。
んで最終的には「もう決まったことだし」となり、データは完全に忘れ去られていきます。
※当然綿密なマーケティングのもと、確かな勝算ありきで進んでいる可能性もあります。だとしたらごめんなさい。
私はたぶんずっこけると思います
厳しいんでないかな~。
基幹事業に注力するためということがその理由です。が、裏を返せばそれだけ不確実性の高い事業であると認めた証拠でもあります。
この時期にこんな話は大変だったと思いますが、船に乗る直前で良かったですね。
なお事業自体は別会社が継続します。
オープン景気に踊らずにどれだけ顧客化できるか
もちろんオープン時は活気に溢れることでしょう。日本初上陸尽くしでメディア取材もたくさん入り、雑誌や Web でも紹介されるはず。
でもオープン景気は持って夏まで。夏休みが終わる頃にはいつもの代官山に戻ります。
代官山は実は顧客率が非常に高いエリア。対称となるのは近隣にお住まい、あるいは近隣勤務の人達。売上のベースを作るのは決して物味遊山の観光客じゃありません。
一方で顧客化には時間を要します。オープン景気で踊らずに、確実に顧客化を推進することが重要です。とはいえこの規模ですから、顧客だけでは何ともなりませんが・・・。
そんなこんなで私は全体的にコケると思いますが、どうなることやら。1年後に覚えていたら振り返ってみます。
では再見。
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